最近ではCAPDという呼び方が、一般の方たちの間でも通じるようになりつつあります。こちらの治療は、全国で約8,500人の方が受けています(血液透析にくらべてずっと少ないのです)。
腹膜透析は、おなかの中に透析液と呼ばれる液を入れたり出したりする治療です。そのために、おへその横あたりに、この透析液を出し入れするための管を植える手術が必要です。管は、おなかから約15cmくらい出ていますが、普段は下着の下などにしまっておいて、外部からは見えません。入浴もできます。
おなかの中には、1回に1,500-2,000mLの液を入れます。入れた液は4-8時間ほど、そのままにしておいて(これを滞液と言います)、時間がきたら、液を出します。出したら、次の新しい液をすぐに入れます。ですから、おなかの中には常に透析液が入っていることになります。
おなかの中に液を入れておくと、この液の中に老廃物(尿毒素)が溶け出してきてくれます。また、この液から必要な電解質が補充され、余っている電解質は、尿毒素のように液の方に流れてきます。また、水分もこの液の方にしみ出てきます。ですから、たとえば2,000mLの液を入れたとして、4時間後には2,200mLになって出てくる、というような具合に水分が除去されるのです。
液を出したり入れたりする「交換」は、一日に4回(朝・昼・夕・寝る前)が標準です。血液透析は週に3回でしたが、この腹膜透析の方は毎日治療を行います。これらの治療はすべて自分で行うので、医療施設には月に1-4回ほどの受診ですみます。血液透析に比べて、時間的には束縛されません。
また、ここ数年はサイクラーと呼ばれる器械を用いて、この腹膜透析を行うことが盛んになってきました。眠っている間に、器械が自動的に、液を入れ、滞液し、出して、次の液を入れる、という一連の作業をしてくれるのです。眠っている間に、3-4回の液の交換をしてくれますから、昼間は液の交換をしなくていいか、1回程度の交換ですみます。
この腹膜透析で行われるのは、腎臓のはたらき1)〜4)であることは、血液透析とかわりません。したがって、腎臓のはたらき5)〜7)については、薬が必要になるのも、血液透析と大差はありません。
食事制限や水分制限は、血液透析よりはゆるやかなことが多いのですが、中にはかなり厳重な制限が必要になることもあります。
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