[回答]
透析という治療にともなって発熱し、それ以外の 時には熱が出ない場合「透析熱」と呼ばれます。
これは私の印象で、実際にほかの透析施設の現状を調べたわけではないのですが、 以前に比べてこの透析熱をみなくなった感じがします。
おそらく、一番の要因は、透析液の処理を厳重にして、 透析液をきれいにするようになったことが、いい影響を およぼしているのだと、想像しています。
さて、比較的長期間にわたって、透析熱が続いている場合、
1) ダイアライザーの膜との相性(「生体適合性」などと言いますね)が合っているかどうか
2) 透析液がきれいになっているかどうかエンドトキシンの含まれていない透析液かどうか
3) 薬剤のアレルギーがないかどうか
の3点を透析熱の原因と考えます。
1)のダイアライザーとの相性は、人それぞれで異なりますので、 ある人は熱が出なくても、別の人では熱が出ることがあります。
ですから、試しにダイアライザーを変更してみるのはよい方法と思われます。
2)の透析液の清浄化ですが、これは多くの施設で行われるように なってきています。ところが、残念ながら、100%の施設で行われて いるわけではありません。
エンドトキシンフィルターという機器を、透析液の流れる配管の 途中につけているかどうか、そのフィルターのメンテナンスを こまめに行っているかどうかが問題なのですが、 実際に患者さんの目に触れるものではありませんので、 わからないことが多いのです。
透析液の中にエンドトキシンという、熱の原因となる物質が ないかどうか調べる検査も、必要なのですが、この点につきましても もしお聞きになれるのでしたら、主治医の先生にご質問されると よろしいかと思います。
3)の薬剤ですが、透析のたびに使用される薬剤で、熱が出ることがある (可能性がある)ものには、エリスロポエチン、鉄剤(注射用のもの)、 二次性副甲状腺機能亢進症の治療に使用される、ビタミンD(これも 注射用のものです)が、知られています。
また、熱が透析の時に限って出るのだとしても、感染症が 隠れていないかどうかの検査も重要だと思います。
特に、透析をお受けになっている方の場合は、結核が 隠れていることが、時々あります。
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