[回答]
● 運動を制限する必要はありません
透析治療をお受けになっているからといって、 運動を制限する必要は、全くと言っていいほどありません。
(ただし主治医の先生には必ず事前に相談されてください)
フルマラソン(42.195km)を走る人も、富士山に登る人もいます。
けれども、これはちょっと極端な例ですよね。
●息が切れない運動がオススメです
私がオススメしているのは、とにかく歩くことです。
足腰の力が弱くなってしまうと、転倒しやすくなったり、 歩くことがイヤになってしまって、さらに力が落ちてしまうという 悪循環になってしまったりするからです。
運動には大きく分けて2種類あります。
息が切れる(ハアハアする)運動
息が切れない運動
です。
透析治療をお受けになっている方は、息が切れない運動の方が安全です。
「有酸素運動」と呼ばれますが、一番手っ取り早い(道具もいらないし、 お金もかからない)のが、散歩です。
ただし、ご自宅のまわりをちょっと歩く、程度ではあまり効果がありません。
理想的には、40分間の散歩を毎日(あるいは、透析のない日)に 続けていただきたいと思います。
言うのは簡単で、実行するのはとても難しいことですが、 最初は10分でも20分でも、週に1-2回でもよいですから、 少しずつ運動量を増やしていってもらいたいと思います。
●閉塞性動脈硬化症という病気について
最近、透析治療をお受けになっている方で、特に糖尿病を合併されている方の中に 「閉塞性動脈硬化症」という病気が合併しやすいことが注目されています。
これは、足に行く血管(動脈)に動脈硬化が生じて、足に十分な血液が 行かないために、運動をすると筋肉が痛くなったり、 重症になると皮膚に潰瘍を作ったりする病気です。
患者さんの中には「10分程度歩くと体が重い」とおっしゃる場合があります。 歩くと足(特にふくらはぎ)が痛くなって、休んでいるうちに この痛みが消えてしまう、それで、歩くとまた同じように痛み出す、 というのが閉塞性動脈硬化症の典型的な症状です。
足が痛くならないかどうかは、ご自分でもご家族でも気をつけてください。
痛みが出るようでしたら、主治医の先生に相談をして、閉塞性動脈硬化症が ないかどうかをチェックする必要があります。
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