[回答]
● 心臓の合併症について
透析が必要となってしまった、重症の腎不全の合併症の中で もっとも注意が必要なのが心臓の合併症です。
慢性腎不全の治療として透析をお受けになっている方では、 動脈硬化が進展しやすいことが知られています。
この動脈硬化によって、冠動脈という心臓に酸素と栄養を運んでいる 血管の血の流れが悪くなり、心臓が酸素不足・栄養不足となります (これを「虚血性心疾患」と言います)。
また、これとは別に、透析前にお体に水分が貯まって、それを透析で 除去してということを繰り返すうちに、心臓の筋肉が弱ってくることも あると言われています(「透析心」という言葉を使う先生もいらっしゃいます)。
これらの心臓の合併症は、透析が長くなればなるほど出現しやすく、 20年を超えると、重症・軽症の差はありますが、かなりの方に 心臓の合併症が見られるようになります。
心臓の仕事は血液のポンプであり、全身に血液を送ることですが、 虚血性心疾患や透析心によって、このポンプとしての役割が十分に できなくなると、「心不全」という状態に陥ってしまいます。
体のさまざまな部位で、血液が不足する一方で、心臓が送れなくなった 血液は肺に貯まってしまいます。このような状態となると、自覚症状としては 息切れや呼吸困難が出てきます。呼吸困難は夜中に出やすいことが 知られています。
● 治療について
治療としては、手術などで冠動脈の血液の流れを改善させたり、 心臓の働きを助けるお薬を使ったりします。
次にニトロですが、このお薬には大きな問題となる副作用はありません。
安全性の高いお薬です。
私たち透析医は、このような合併症の予防と治療に取り組むことも 重要な使命の一つと考えて、日常の診療に携わっています。
予防法、治療法にはさまざまな進歩がみられていますが、 それでも100%の解決とはまいりません。
ですから、透析医療、合併症対策のさらなる進歩のために、 日々、努力していかねばなりません。
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