(質問のつづき)
前から言われていましたが、進行がかなり進んでいるとの 説明だったので、心配になってきました。
[回答]
●動脈の石灰化について
シャント造影をしたときに動脈の石灰化(カルシウムの沈着)が 認められることは、決して珍しいことではありません。
問題は「以前に比べて進行している」ということです。
透析をお受けになっている方の、異所性石灰化、 つまり、本来カルシウムが沈着しないところに沈着してしまう現象は、 血管、とりわけ動脈にもっともよく見られます。
動脈は全身にありますが、異所性石灰化がみられやすいのは 太い血管で、大動脈の石灰化の頻度が高いことが知られています。
シャント造影をしたときに、腕の動脈にも石灰化が認められる ことが多いのは、上に書いたとおりですが、 この場合、反対側、つまり、シャントのない側の動脈の石灰化は それほどでもないことがしばしばあります。
どうやら、「全身の合併症としての異所性石灰化」とは別に、 シャント血流の影響からくる石灰化もあるようなのです。
ですから、腕の動脈の石灰化をきちんと評価するためには 左右両方のレントゲンを撮って、比較することも大切なのです。
もし、シャント側の動脈の石灰化が進行していて、 反対側の動脈の石灰化がそれほどでもなければ、 「シャントの血流の影響が大きい」と判断します。
●対策について
異所性石灰化のもっとも大きな原因は、カルシウムとリンの異常です。
カルシウムとリンの値を掛け合わせた数値 (カルシウムリン積といいます)が、70を超えると異所性石灰化の 危険が大きくなる、カルシウムリン積は60以下に抑えるべきだ、 という話をお聞きになったことがあるかも知れません。
進行をなるべく食い止めることは大切です。
上に書きましたように、もっとも影響の大きいのが カルシウムとリンですので、血液の検査の結果を みながら、良好なコントロールになるように心がけてください。
これについては主治医の先生と、よく相談をしてみてください。
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