[回答]
●最新の検査装置をおすすめします
きちんと検診をお受けになって、ご自身の健康管理に役立てることは とてもよいことだと思います。
また、ご質問にあるように、最近のCT装置(64列CTと呼ばれています)は これまでよりも細かな所見が得られるようになり、心臓の血管(冠動脈)まで、 見えるほどの性能になっています。
消化器の領域でも、バーチャル内視鏡などと呼ばれて、 内視鏡検査に近い所見を得られるという報告もあります。
●1回で複数箇所の検査が可能か
1回の検査で頭・心臓・内臓とみることはほぼ不可能です。
まず、それぞれの部位によって「撮影条件」が異なります。
撮影条件とは電圧・電流・レントゲンの照射時間などで、 検査の部位によって、これらを設定し直す必要があります。
ですから、もし、ご質問にあるように3つの部位を検査するのであれば、 3回の検査をお受けになっていただくことになります。
これは、病院であっても、私どものクリニックであっても同じです。
それでは、時間はかかるけれど、3回の検査として1日で お受けになることができるか? ということになりますね。
これは絶対にダメ、というわけではありませんが、 お勧めはできかねます。
もっとも問題となるのはレントゲンの被曝量です。
ご承知の通り、CTスキャンはレントゲンを使用しています。
一般的にレントゲンを浴びるデメリット・危険性よりも 検査のメリットの方が上回ると言われていますが、 これを全身でお受けになると、話は別になってしまいます。
●おすすめの検査方法の一例
そこで、こういう検診は如何でしょうか?
(1)頭部はMRIでチェックします。
脳ドックなどで活用されていますが、MRIはレントゲンの被曝が ありません。
(2)胸部は、肺のCTをお勧めします。
通常のレントゲンでは発見できない、小さな肺ガンを見つけようとすると CTが威力を発揮します。
(3)肺のCTでは、同じ胸部なのですが心臓のチェックができません。
これは上に書いたように、撮影条件が異なるためです。 そこで、心臓については負荷心電図といって、ベルトコンベアの上を 走りながら心電図をとる検査をお勧めします。
(4)腹部ですが、消化管(胃や腸)と肝臓・膵臓・胆嚢などの 消化管以外の臓器にわけて検査をします。
(4-1)消化管は、楽な検査ではありませんが、内視鏡が一番です。
内視鏡では、あやしいところがあれば、生検といって 組織の一部を採取して、顕微鏡で見る検査を行うことが できますから、現時点ではもっとも確実な検査と言うことに なります。
(4-2)肝臓・膵臓・胆嚢は腹部エコー(超音波)の検査がいいです。
苦痛がありませんし、レントゲンの被曝もありません。
ただし、これらの検査を一日ですませることはできないと思います。
時間的な制約があるようでしたら、上の5つの検査の中から ご自身で心配の大きい方から選択していただくのが良いと思います。
Comments