(質問のつづき)
例えば、心臓の弁、頚動脈、脚へ繋がっている動脈など さまざまな箇所でカルシウム沈着を起こしているとのことです。 レントゲン写真を見ると、血管が白く写って 細くなっているのが分かります。 それで漠然とした不安を感じています。
[回答]
●動脈の石灰化が進行している方は多い
透析歴が(腎移植により離脱している期間があっても) 30年ということですと、動脈の石灰化が進行している方は たくさんいらっしゃいます。
カルシウムとリンのコントロールが良好であり、カルシウムリン積が 60未満の状態を保てていても、異所性石灰化を完全には 抑制できないということが経験的に知られています。
特に、心臓を含む動脈系の血管にはカルシウムが沈着しやすいです。
石灰化が進行していることは好ましいことではありません。
異所性石灰化が進行すると、その動脈が詰まってしまったり、 詰まらないまでも血液が通りにくくなることが危惧されます。
頭に行く動脈が詰まれば脳梗塞、心臓の冠動脈が詰まれば 心筋梗塞なども考えられます。
●異所性石灰化の対処方法について
では、異所性石灰化の対処方法についてですが、 最近は、完全に血管が詰まってしまう前に (つまり「通りが悪くなった」という段階で)治療が 行われることが多くなってきています。
もっとも普及しているのは、冠動脈に対するインターベンションと 呼ばれる治療法です。
石灰化した動脈は通常の風船では拡張しにくいことが多いため、 ロータブレーターなどと呼ばれる血管内に入れるドリルで 狭くなったところを削ってしまう治療が 行われるようになってきています。
頸動脈では、内膜剥離術という手術を行う病院もありますし、 足の動脈でも、カテーテルによる治療や手術をしての バイパス療法などが行われます。
●これからのために大切なこと
上記のような対処方法があるわけですから、大切なことは 「石灰化が進行してるかどうか」を検査するだけではなく、 「血液が通りやすい状態が維持できているのか、あるいは 詰まりかけているのか」ということをきちんと評価して、 早期に対処することになります。
このためには、血管造影・血管超音波検査(エコー)、 CTスキャンなどの検査を組み合わせて行います。
石灰化があると、一つの検査だけでは評価が難しいことがあるからです。
また、心臓の弁へのカルシウムの沈着も、 長期に透析をお受けの方ではしばしば認められます。
弁へのカルシウムの沈着は、血液の逆流や、反対に血液が 通りにくくなる狭窄という病気の原因となります。
これらの逆流や狭窄が心臓に悪影響を及ぼすようであれば、 手術によって弁を取り替える治療が行われますが、 どの程度の逆流や狭窄があるのか、手術をする必要が あるほどの程度なのか、手術が可能かどうかなどを見極めるためには エコーと心臓カテーテル検査が行われます。
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