(質問のつづき)
透析開始から30分くらいすると肘上から肩にかけて、 ガマンできなく位の痛みで3時間の透析治療をするのがやっとです。 どんな原因が考えられるでしょうか?
[回答]
透析時の肘から肩にかけての痛みですが、 これは、両方の腕に生じるのでしょうか?
あるいはシャント側(右)だけでしょうか?
それによって原因として考えられることが変わってきます。
●シャント側だけに痛みがでる場合に考えられること
<考えられる原因>
シャント側だけに痛みが出るのであれば、いわゆる「血管痛」が 考えられます。
どうしてこのような痛みが出るのか、きちんとした原因は わかっていないのですが、針刺しをしてからしばらくして シャント側の腕に痛みが出て、透析治療が終了して針を抜くと スーッと痛みが引いていくのが特徴です。
お母様のように、長期に透析をお受けになっている方にも 生じることがあります。
<対策>
対策ですが、この痛みをゼロにすることは難しく、 穿刺をする場所を変えてみたり、透析中に温めたり、冷やしたり、 電気刺激を与えてみるといった治療が報告されていますが、 私の経験では、どれも効果は不十分です。
透析中に鎮痛剤をのんでいただくこともありますが、 それでも痛みが十分にコントロールできないことも多く、 また透析のたびに痛み止めを服用することは、胃腸への副作用も心配されます。
どうしても痛みがひどければ、シャントを作り直すことも検討されますが、 お母様は左のシャントがつぶれてしまって、右手に作り直しをされている ようですので、さらに右のシャントを(手術で人為的に) つぶしてしまうことには抵抗があるかとも思います。
もし作り直しをするとなると、左に人工血管を移植するシャントに なる可能性がありますが、やっかいなことに人工血管を使用した シャントでもこの血管痛がでることがあります。
すでに穿刺場所を変えるなどの対策は、行っていただいていると 思いますが、まだであればそれを試していただき、それでは無効の ようであって、どうしても苦痛が大きいようであれば、シャントの 作り替えを主治医の先生に検討していただくことになると思われます。
●シャント側でない左の腕、または両方に痛みがでる場合に考えられること
<考えられる原因>
一方、シャント側でない左の腕に、ご質問にあるような痛みが出ているとすると 真っ先に考えなければならないのはアミロイドーシスです。
長期に透析をお受けになっていらっしゃいますし、すでに肩の手術と 手根管の手術をお受けになっていらっしゃいますので、ご存じと 思いますが、アミロイドーシスは再発することがまれではありません。
<対策>
手根管症候群では、肩まで痛みが出るということはまずありませんので、 もしお母様の症状の原因がアミロイドーシスだとすると、 肩関節アミロイドーシスの再発か、頸椎(首の骨)に アミロイドーシスが生じる破壊性脊椎症がないのかどうかを 検査する必要があると思います。
肩関節アミロイドーシスの痛みの特徴は、横になる(臥床する)と痛みが 強くなることです。ですから、透析中だけではなく、ご自宅で就寝される時にも 痛みが出て、起き上がると楽になるという症状があると、肩関節アミロイドーシスの 可能性が大きくなります。
また、頸椎からの痛みであれば、枕の高さを変えるだけで痛みが 楽になることがあります。
いずれにしましても、まず肩関節や頸椎のMRIなどで、病変がないかどうかを 確認しておくことは意味のあることと思われますので、検査に関して 主治医の先生と相談をしてみて下さい。
Comentarios