(質問のつづき)
最近では腕に沿って縦3cmx横2.5cmx高さ1cmになり、担当医が言うには石灰化もしているとのことです。なお、リンとカリウムの 平均値は、リン5、カルシウム9.5です。 また、シャント箇所のいくつかは狭窄しているようで、 近々専門に診てもらうことになっています。
【質問1】
今のところ220ml/Mで取れているようですが、PTAは必要でしょうか?
【質問2】
シャント瘤はこのまま放置するより、切除した方が良いのでしょうか? その場合、シャントを作り直すのでしょうか?
[回答]
【現在の状況について】
●シャントが保たれていることが素晴らしいです
透析を始められてから17年間、シャントが保たれているということは素晴らしいことですね。
中にはシャントが1年ももたずに、何度も手術をお受けになったり人工血管の移植を必要としたり、シャントで苦労をされている方も少なくありません。
最初にシャントの手術をされた先生がよかったのと、ご自身の血管がよかったことの両方があったのだと思います。
●血管の状態のいい方の場合、シャントの瘤が問題になって来ることも
血管の状態のいい方の場合、今度はシャントの瘤が問題になって来ることがあります。
血管が発達しすぎてしまい、瘤を形成してしまうのです。
縦3cmx横2.5cmx高さ1cmという大きさは、瘤としては、急を要するほどの大きさではないと思います。
私は「大まかな目安ですが、だいたいピンポン球くらいの大きさになったら切除の手術を考えましょう」という話をしています。
もちろん、大きさだけではなく、皮膚の状態なども大切ですから、主治医の先生やシャント医の先生と相談をしながら対処を決めていく必要があります。
●カルシウムとリンのコントロールも良いです
カルシウムとリンのコントロールは良いですよね。
それでもシャントの、特に吻合部には石灰化が生じることがあります。
異所性石灰化は、カルシウムとリンだけではなく、様々な因子が影響をして生じているものです。
シャントの吻合部の場合は、血液が勢いよく流れることによって、機械的な刺激が血管の壁に影響をして石灰化を生じているのだと思われます。
ですから、シャント瘤の部分に石灰化があるからといって今よりもさらにリンを下げたり、カルシウムリン積を下げる必要はないだろうと考えます。
この点についても主治医の先生とよく相談をしてみてください。
【質問1への回答】
●PTAは必要か?
発達のいい血管(シャント)の場合、血管が蛇行をするために狭窄を生じることがあります。
PTAを行うことにより、シャントの血流量が増えすぎて、かえって心臓に負担をかけることもあり得るので、そのような場合はPTAを行わずに様子を見ることもあります。
反対に、狭窄を解除することによって瘤が小さくなることが期待できることもあります。
専門医に診てもらうことになっているとのことですから、詳しく説明を受けることができると思います。
【質問2への回答】
●瘤を切除したほうがいいのか?シャントは作り直すのか?
瘤を切除するかどうかは、大きさと皮膚の状態が大切です。
大きさは上に書いた通りですが、絶対的な基準ではありません。
もう少し小さいうちから手術を勧める先生もいらっしゃると思います。
皮膚の状態ですが、瘤が下から皮膚を押し上げることによって皮膚が薄くなり、つやつやと光沢を持つようになることがあります。
こうなってくると、わずかな外傷などで瘤が破裂する危険がありますので、サイズが小さくても手術を行うことがあります。
手術の方法はいくつかありますが、瘤を切除して、その中枢側(心臓に近い側)に新しくシャントを作り直すことが一般的と思います。
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