(質問のつづき)
高カロリー輸液を行っている患者が数名いらっしゃいますが、ハイカリックの中に、リン酸ニカリウム1Aと10%塩化ナトリウム2A混注しています。確かに、血中P2.台 K2.台と低めなのですが、今までは混注していなかったので、疑問に思いました。塩化ナトリウムに関しては、不要ではないかと思うのですが、先生はいかが思われますか?
[回答]
●ハイカリックの種類によって異なること
ハイカリックには「1号」「2号」という通常のハイカリックだけでなく「RF」「NC」といったものがあります。
通常のハイカリックではナトリウムを含有していないため、混合するアミノ酸液のナトリウム量を計算し、必要があればさらにナトリウムを補給します。
10%塩化ナトリウム2Aというと、食塩にして4gということになりますから、もしアミノ酸液のナトリウムが35mEq程度であれば、それほど過剰なナトリウム補給にはならないと思います(いずれも1日量としてです)。
いっぽう「RF」や「NC」を投与している場合は、これ自体にナトリウムが含まれますので、上記よりは減量が可能です。
●ナトリウムやカリウムのこと
寝たきりのかたであっても、ナトリウムは必要です。
この必要量を食塩にして6gとするとナトリウムとしては 102mEqとなります。
ですから、全部でおおよそ100mEq/日くらいのナトリウムが補給されているのであれば、ナトリウム過剰とはならないと思います。
カリウムに関しても同様の計算をします。
通常のハイカリックはカリウムを含み、「RF」はカリウムを含んでいません。
そこで、リン酸二カリウムやアスパラカリウムなどでカリウム量を調節します。
カリウムに関しては、一日量が何mEq(あるいは何mg)という計算をするよりも、血液検査で低カリウムになっていないかどうかからカリウムの調節をします。
ご質問の患者さんの場合は2台ということですから、補給量を増やしたほうが良さそうだと考えられます。
●輸液のこと
輸液の基本は、一日量としてどのくらいの栄養分と電解質が補給されているかを計算することです。
エネルギー(カロリー)、アミノ酸量(窒素として何グラムかを計算するのが簡便です)、ナトリウム、カリウムなどの一日量を計算してみてください。
それぞれの輸液バッグに組成が記載されているので計算はそれほど難しくないと思います。
輸液をどのような組成に調整するかというのは難しいことです。
特に、腎機能障害があったり、透析をお受けになっているかたの場合は、市販の輸液剤に調整が必要なことが少なくありません。
このため、輸液療法はどうしても敬遠されがちです。
この輸液に興味をお持ちいただいたことは、腎臓医にとってとてもうれしいことです。
主治医の先生と相談をされながら、勉強を深めていただき、さらなるキャリアアップの一助となれば幸いです。
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