透析Q&A

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[Q352]現在、在宅血液透析を行っています。透析導入前は糖尿(高血糖)と診断されたことはありませんでしたが、血糖値がどんどん上昇し、わずか2年足らずでHbAl1cの数値が5から8へ上昇しました。

(質問のつづき)

食事の量は、透析を導入する前よりも少なくなり、体重も20kg近く減少しています。栄養状態は良く、血糖値も高いので、主治医に何度も無糖の透析剤に変えてほしいとお願いしているのですが、低血糖の恐れがあるので、承認できないとの回答を繰り返し受けています。

ご質問ですが、透析剤の中のブドウ糖がどれだけ血糖値に影響を与えるのでしょうか。たとえば、私のように極めて高い血糖値でも、無糖の透析剤に変えただけで、低血糖になるのでしょうか。

また、毎日、食事で十分な栄養を得ている上に、毎日透析でブドウ糖を摂取していたら、糖の摂取過剰になるのではないでしょうか。一度、無糖の透析剤を試して、数値の推移を観察したいというのは、わがままなお願いなのでしょうか。

 

[回答]


●おからだの状態について


HbA1cが8というのは、かなり高い値ですので、この血糖は下げておきたいですね。


●透析剤の中のブドウ糖が血糖値に与える影響


現在使用されている透析液は、ブドウ糖濃度を100~150mg/dLに調整されています。

これは、ほぼ血糖値の正常値です(空腹時血糖は110未満が正常ですが、透析をお受けになるときには、朝食や昼食やおやつを食べた後ですから、上記の値でよいと考えられています)。

キンダリーAF2も、ブドウ糖(100mg/dL)が入っている透析液です。


上記の濃度であれば、透析液のブドウ糖は血糖値に影響しないことが多いはずです。

ところが、透析中に低血糖を生じることが、まれならず経験されます。


ご質問者の方の場合ですが「たぶん大丈夫であろう」と思われます。

あやふやな言い方で申し訳ありませんが、正確なことは実際に透析治療をしてみないとわかりません。


私が医師になったころは(20年以上前ですが)、透析液にはブドウ糖が入っていませんでした。

ご希望されている、無糖の透析液が普通に使われていたのです。

それで、低血糖を生じる方がたくさんいたかというと、そうでもありませんでした。


ただし、低血糖を生じる方はいますので、ブドウ糖が入っている透析液が発売されると、次々とそちらの透析液に変更されました。


「低血糖」の症状は血糖値だけではなく、血糖が下がるスピードによっても生じます。

たとえば、血糖値が300という高い血糖のかたが、透析を受けることによって血糖値が急激に120まで低下したとすると、数値はいい値なのに低血糖の症状がでることがあります。


ですから、無糖にした場合、どのようになるかは「実際にやってみないとわからない」ということになります。


●毎日透析でブドウ糖を摂取していたら糖の摂取過剰になるのか


上記のように、透析液のブドウ糖濃度は正常範囲に調整されていますから、「透析でブドウ糖が補給されて糖の摂取過剰になるのではないか?」というご心配はあまりされなくてもよいと思います。


●無糖の透析剤を試して数値の推移を観察することは可能か


ほとんど使用されなくなってしまいましたが、キンダリーAF1は無糖のはずで、まだ作られていると思いますから、それに変更するという選択肢はあります。


ただし、私はブドウ糖なしの透析液をお勧めしておりません。

ブドウ糖なしの透析液を使うと、血液中のブドウ糖が透析液側に移動してしまい、ブドウ糖が除去されてしまうことになります。


もし、ご質問者の方がお食べになっている食事が、ちょうどいいエネルギー(カロリー)であるとすると、透析をお受けになることによって、低血糖にならなかったとしてもブドウ糖=エネルギーが不足してしまう危険があります。


糖尿病の治療は、血糖を正常化することが大切ですが、その正常化は血液の中のブドウ糖が細胞の中に入っていくことによって達成されなければなりません。

ブドウ糖を除去して血糖値が正常化するのと、ブドウ糖が細胞の中に移動して血糖値が 正常化するのとは、別のことです。


血糖値はいい値になっても、細胞の一つ一つがエネルギー不足になってはいけませんから、やはりブドウ糖が入っている透析液をお勧めしたいと考えております。


この点に関しては、主治医の先生とよく相談をされて、納得をされた上でお決めになって下さい。


[回答日 2013/4/11]

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