(質問のつづき)
以前、HDF専用のダイアライザーを使わなければいけないという記事をどこかで読んだ記憶があるのですが、ガイドラインや規定みたいなものはあるのでしょうか?現在、使用しているダイアライザー NV21Uです。
[回答]
結論から書かせていただくと、
(1)治療効果や安全性としては、ほぼ大丈夫です。
(2)HDF専用のダイアライザーを使用しなければいけないと言う規定(規則)はあります。
矛盾するようなお答えとなってしまいますが、以下に説明をさせて下さい。
●オンラインHDFとは?
すでにご存じかと思いますが、オンラインHDFは透析治療中に大量に補液をして(水を入れて)、その分を大量に除水するという治療です。
どうしてそのようなことをするかと言うと、中分子と呼ばれる「粒の大きな毒素」を除去したいからです。
ダイアライザーの改良によってこの中分子は、通常の透析でもかなり抜けるようになってきましたが、HDFはより効率よくこの中分子を除去できるとされています。
大量に補液をする際の水分は透析液を用います。
通常の透析では透析液がお体の中に入ることはほとんどありません。
あったとしてもごくわずかです。
ところが、オンラインHDFでは、何十リットルという透析液がお体の中に入ってきます。
ですから、大切なことは、透析液がきちんと清浄化されていることです。
これは大変な手間がかかることで、オンラインHDFを行っている透析施設は、この透析液の清浄化にたくさんのエネルギーを注いでいるのです。
●ダイアライザーについて
ダイアライザーですが、中分子が抜けるだけの穴の大きさがなければいけません。
この点に関しては、現在お使いのNV21UはHDFの治療効果を期待できるものだと思います。
専用のダイアライザーがあるのですから、どこが違うのかというと、専用品はアルブミンの漏出量を減らすように作られているとされています。
HDFでは分子量(粒)の大きな尿毒素を除去しようとしますが、分子量の大きなものの中には私たちの体が必要とするものも含まれています。
その中の代表的なものがアルブミンという名前のタンパク質です。
HDFではどうしてもこのアルブミンが除去されてしまいます。
ですから、中分子はよく抜けて、アルブミンが抜けないというダイアライザーがあれば理想的ですが、そのようなものはまだ開発されていません。
●治療効果や安全性について
NV21Uではアルブミンが除去されてしまって、血液中のアルブミンが低下してしまうかどうかですが、これは定期的な血液検査でチェックされているはずですから、そのような場合には主治医の先生から治療方法の変更やダイアライザーの変更がなされるはずです。
また、専用のダイアライザーをつかっていてもアルブミンは除去されますから、やはりアルブミンが低下してくるとHDFを断念するとか、補液量(置換液量)を減らすとかということをしているのです。
アルブミンが低下した場合は、通常のダイアライザーであっても専用のダイアライザーであっても、同じように対応が必要となるのです。
そういった意味で「ほぼ大丈夫」と書かせていただきました。
●規定(規則)について
さて、規則上はどのようになっているかというと、専用のダイアライザーを使用しないと、HDFとしては保険請求できないことになっています。
つまり、現在お受けになっている治療はHDFですが、保険請求は通常の血液透析でしか請求できません。
これは、透析施設としては収入減となります。
どうしてHDFで請求できるようなダイアライザーを用いないかよくわからないのですが、院長先生のお考えがあってのことだと思われます。
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