(質問のつづき)
殆どの場合は引けても100gですが、イレギュラーな時は300g以上引けていて、600g引けている時もありました。これは透析治療のシステム上、仕方がない事なのか?それとも、人為的ミスが原因なのでしょうか?
[回答]
結論から先に申し上げると、人為的ミスよりも器械の精度の問題の方が大きいと思われます。
●器械(コンソール)の仕組みについて
現在のコンソール(透析用の器械)は、透析支援システムと呼ばれるコンピュータを介して、体重計とつながっていることが多く、その場合、透析前に測定した体重が自動的にコンソールに入力されるようになっています。
そして、ドライ・ウェイトまで、どのくらい除水すればよいのか?の設定を器械(コンソール)が計算します。
これを、透析スタッフが確認して、穿刺を行った後、透析治療が開始されます。
除水量が多い時には、ドライ・ウェイトまで除水しないことがありますので、スタッフが調整をしますが、ドライ・ウェイトよりも多く除水をすることは、基本的にはありませんので、スタッフがわざわざ多めの除水設定をしない限り、過除水になることはありません。
●ダブル・チェック等で人為的なミスを防止
体重計とコンソールが、コンピュータによってつながっていない場合もあります。
この場合には、透析前に測定をした体重とドライ・ウェイトとの差から、その日の除水量を計算します。
人が行う計算ですが、足し算・引き算ですので、まず間違えることはないと思います。
しかも、ダブル・チェックと言いますが、計算を行ったスタッフとは別のスタッフが、その計算が間違っていないことを確認していると思います。
ですので、人為的なミスで0.3kgや0.6kgという過除水が1回ではなく、複数回も起こることは、ほとんど考えられないことです。
●透析スタッフへの相談と、器械のチェックをオススメ
透析の器械の精度ですが、私が医者になった30年前は0.3kgという除水の誤差はよくありました(ほめられた話ではありませんが)。
しかし、現在使用されているコンソールは、除水の誤差は出ても0.1kgであり、0.2kgを超える誤差はまずありません。
それが、0.3kgだとか0.6kgだとかの誤差が出るのであれば、除水量のコントロールをする部分の確認をしていただいた方がよいと思われます。
担当するスタッフによって除水の誤差が出やすいようだという印象をお持ちだとのようですが、上記の通り、人為的ミスによる過除水はかなり稀なことです。
主治医の先生や臨床工学技士に相談をして、器械のチェックをしてもらうとか、別の器械(別のベッド)で透析をお受けになってみるなどの対策を検討していただいてはいかがでしょうか。
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