透析Q&A

  • いい透析ドットコム

[Q482]父が、3年前に糖尿病と診断されました。 現在は目もほとんど見えず、今年4月に左足が壊死して膝下から切断、右足も一部変色しています。

(質問のつづき)

術後自力で排尿出来なくなり、腎臓の検査の結果から透析を勧められました。しかし本人は断固拒否。何度も話し合いましたが、気持ちは変わらないようです。 今は顔色もいいし、元気なように見えるので、透析なしでも、あと数年は生きるのではと、つい希望を持ってしまいます。

 

[回答]


●できるだけ透析治療を避けられるように診療しています


実際にお父様を診させていただいておりませんので確定的なことは申し上げられませんが、「あと数年」というのはきわめて難しいと思われます。


私たち腎臓医・透析医は「できるだけ透析治療を避けられるように」診療しています。


それでも、残念ながら腎臓病が進行してしまうことがあり、そのような場合に透析治療をお勧めすることになります。


透析治療をお勧めするタイミングは、医師によって多少の差がありますが、おおよそ数か月前、ということが多いと思います。


つまり、透析治療をお勧めしてから数か月(2-3か月か、3-4か月)以内に透析が必要になります、ということになります。


●透析治療をしない場合の症状について


透析治療が必要な段階で、透析治療をお受けにならないと次の2つのことが起こってきます。


1つ目は尿毒素(老廃物)の蓄積です。


オシッコはいわばゴミ捨て場で、体内で必要のなくなった老廃物をオシッコに溶かして捨てる仕事をしているのが腎臓です。

腎臓の働きが悪くなってくると、血液の中に老廃物がたまってきて、いろいろな症状が出てきます。

食欲がなくなる、体がだるくなる、免疫力が低下する、皮膚が痒くなる、骨がもろくなる、重症になると意識がはっきりしなくなるなどの症状が出ます。

また、老廃物ではありませんが、電解質のカリウムというイオンが上昇すると心停止をきたすことがあります。この場合は、突然死の原因となります。


2つ目は水分が溜まってくることです。


腎臓はオシッコを作っていますが、そのオシッコの量が減ってくると体内に水分が溜まってきます。

外から見てわかる水分の貯留は「むくみ」です。

しかし、一見むくみがなくても、体内に水分が溜まってくることがあります。

例えば、肺や心臓に水分が溜まってくると、息切れや呼吸困難を生じます。

腸がむくんでいることもあって(外からはわかりません)、その場合には下痢になったり便秘になることがあります。


糖尿病から腎臓を悪くされた方は、水分が溜まりやすくなる傾向にあり、また、お父様の場合は、網膜症があり足の切断術もお受けになっているとのことですから、心臓や血管系の合併症が進行しているものと想像されます。

ですので、むくみ、息切れ、呼吸困難には注意が必要です。


●透析治療を受けないという選択を尊重しています


これまで数名の透析治療をお受けにならないとお決めになった方を看取らせていただいた経験があります。


その経験から申し上げると、半年は難しいのではないかと考えます。


お父様の残りの人生が、できるだけ安楽で苦痛の少ないものにできるよう在宅診療を担当される主治医の先生や看護師と相談をしながらケアをしてあげて下さい。


もちろん、お父様の気持ちが変わって、透析をお受けになってもよいとおっしゃっていただければ、腎臓の主治医に連絡をお取りになるようにして下さい。


[回答日 2018/10/17]

関連記事

(質問のつづき) 透析選択外来で腹膜透析をすると決めたにもかかわらず、医者からはその後の計画などの話がまったく出てきません。この病院ではダメだと思いますので、他の病院に変えたくても医者の紹介状がないと出来ない状況です。どうすれば良いのでしょうか? [回答] ●腹膜透析を選んだ経緯からの推察 透析選択外来をお受けになったとのことですから、血液透析と腹膜透析の違いを理解された上で、腹膜透析を選ばれたの

(質問のつづき) また、母が一番気にしているのは食事での塩分制限です。現在でも塩分制限が厳しいと感じていますが、ますます厳しくなるものでしょうか? [回答] 腹膜透析はお嫌だということであれば、もし透析療法が必要になった場合は、血液透析ということになりますね。 ●塩分制限の必要性について 塩分制限の必要性は、オシッコの量が減ってしまうかどうかに大きく影響されます。 透析療法が始まっても、腎臓病は進

(質問のつづき) SMAP法ではカテーテル留置期間が長い方が良いのか、個人差で変わるのか教えてください。また、APDは座った状態で行っても問題はありませんか? [回答] ●カテーテルを留置する場合の問題と期間 腹膜透析のカテーテルを留置する場合、一番問題となるのは腹膜を貫通する部分からの液漏れです。 SMAPは、この腹膜貫通部を先に手術しておいて、腹膜透析を開始するタイミングで、カテーテルを体外に