(質問のつづき)
昨年も、あまりにも痩せてしまったので、主治医の先生から塩分制限を一時止めて、体重を増やすように指示が出たことがありました。 透析を始めた場合、今より食事制限は厳しくなるのか、緩くなるものなのか、どちらなのでしょうか?
[回答]
●塩分制限よりもカロリー摂取をすすめる理由
腎臓食(透析を始める前の)は、高カロリー・低タンパク食が基本となります。
御高齢の方の場合、タンパク制限はそれほど気を遣わなくても、達成できることが多いのですが、カロリーの確保はなかなか難しいこともあります。
塩分制限も大切ですが、それによって食欲が低下してしまい、カロリー不足になってはいけませんので、主治医の先生も塩分制限よりもカロリー摂取を、とお考えになったものと思われます。
カロリーをかせぐために、食事だけではなく、おやつ(間食)を召し上がる方法もあります。すでに実践されているかも知れませんね。
●食事の制限は、それほど厳しくならない
透析を始めた場合、今より食事制限は厳しくなるのか?緩くなるのか?という御質問ですが、これはなかなか難しい御質問です。
可能性としては、食事の制限は「それほど厳しくならない」という回答が妥当と考えます。
緩くなるのかどうか、という御質問に対して、逃げているようですが少し説明をさせて下さい。
●腹膜透析の場合
まず腹膜透析の場合から説明させていただきます。
腹膜透析では、原則的に食事療法はフリーに近いです。
つまり、何をお食べになっていただいても大丈夫、ということになります。
現在、カリウム(生野菜やくだもの)の制限をされているかも知れませんが、腹膜透析では、カリウムの制限はほとんどありません。
むしろ、多くの方は「もっとカリウムを摂って下さい」と指導されます。
塩分制限は、全く不要ということにはなりませんが、今よりも緩和されると思います。
●血液透析の場合
血液透析の場合ですが、タンパク制限が緩和されます。
しかし、上にも書きましたが、御高齢の方では、お肉やお魚をたくさんお食べになるということはそれほどありませんので、制限が緩和されても、結果としてお食べになる量はあまりかわらなかった、ということをよく経験します。
カリウムの制限については、かなり個人があり、制限が続く方と制限が緩くなる方がいらっしゃいます。
塩分制限は、一日6-7g程度とされていますが、これにも個人差があります。
●ご本人のお気持ちを聞くことも大切
現在のお母様の食事療法で、何が一番つらいのでしょうか?
塩分制限が大変なのであれば、腹膜透析の方が楽なことが多いです。
血液透析でも、若干緩和されると思います。
タンパク制限であれば、腹膜透析でも血液透析でも、今よりもお召し上がりになれます。
カリウム制限がつらいのであれば、腹膜透析の場合はほぼ制限がなくなります。
主治医の先生や管理栄養士とも相談をしながら、どのような食事療法(食事制限)が見込まれるのか、お聞きになって見て下さい。
Commentaires