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透析Q&A

執筆者の写真いい透析ドットコム

[Q501]46歳男性です。小学生の時にiga腎症を診断され、10年前より糖尿を患い、半年前から透析治療を受けています。血液検査のカリウムの数値が前で3.5未満、後では3を切っております。

(質問のつづき)

糖尿治療でインスリンを使用しており、インスリンとの関係でカリウムが低くなると聞きましたが、透析患者で低カリウムは大丈夫なのでしょうが?

 

[回答]


●低カリウムは大丈夫ではありません


まず、低カリウムは大丈夫か? と言う御質問にお答えをいたします。

結論から申し上げあると、大丈夫ではありません。

透析(血液透析ですね)前の採血で4.5(mEq/L)程度はほしいと思います。


カリウムは高くなり過ぎると心臓が止まってしまう(つまり死んでしまう)ため、透析を始められる前からカリウム制限を指示されていたと思います。


高カリウムの危険性はその通りなのですが、カリウムが低過ぎるのも、お体にとってよいことではありません。


特に、カリウムは筋肉の力を保つために重要な電解質ですので、低カリウムが続くと、筋肉に力が入りにくくなってしまうことがあります。


●お食事の工夫が必要と思われます


透析前で3.5未満、透析後には3未満とのことですから、カリウム濃度は、平均すると3あるかないか、と言う状態だと推測されます。


透析でカリウムが除去されるのは仕方がないことですので、透析前のカリウムを4.0とか4.5とかになるように、お食事を工夫していただきたいと思います。


すでにご存知のことと思いますが、カリウムは生野菜や果物に多く含まれます。

特にネバネバする野菜や果物、例えばヤマイモやバナナなどにはカリウムがたくさん含まれています。


また、これから夏の時期にはスイカがカリウム豊富な食品として知られています。

生野菜・果物だけではなく、お肉にもカリウムは含まれていますので、管理栄養士と相談をしながら、バランスのよい食生活を心がけて下さい。


●注意していただきたいことがあります


カリウムを多めにお摂りいただく際に、注意していただきたいことがあります。

低カリウムが悪いと書きましたが、大幅にカリウムを増やすのではなく、少しずつ、ゆっくりと増やして下さい。


現在よりも生野菜・果物を少し多めにお召し上がりになって、次の採血でカリウムが低いままだったら、また少し増やしてみる、くらいのイメージでよいと思います。


次回の採血で、カリウムが4.5なければいけない、と言うことではありません。

急に増やすと、高カリウムになる危険がありますので、ちょっとずつ増やして血液検査の結果を見て下さい。


●カリウムが低くなる原因についてお話しします


次に、カリウムが低くなる原因ですが、インスリンのためかも知れませんし、オシッコの中にたくさんのカリウムが捨てられているからかも知れません。


インスリンは、血糖(血液の中のブドウ糖)を下げますが、これは血液中から細胞の中にブドウ糖を移動させることによって、血糖を下げています。


そして、ブドウ糖が血液中から細胞内に移動するときに、カリウムも一緒に血液中から細胞内に移動します。


それで、血液中のカリウムの濃度が下がるのです。


●先々は高カリウムになる可能性が大きいと思います


ただし、インスリン療法をお受けになっている方がすべて低カリウムになるわけではありませんので、インスリン以外の原因、上に書きましたように、オシッコの中にカリウムが捨てられている可能性もあると考えます。


透析を始められて半年、とのことですが、先々は高カリウムになる可能性が大きいと思います。


ですので、いずれはカリウム制限が必要になることも念頭に置きながら、血液検査の結果を見て、食事療法を調整していただきたいと存じます。


[回答日 2019/9/30]

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