透析Q&A

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[Q553]主治医に透析治療をやめたい、と言っても受け入れてもらえません。なぜ受け入れてもらえないのでしょうか。患者にも透析を止める権利はあるはずです。

(質問のつづき)

透析医療の中で透析中止の扱いはどうなっているのでしょうか。

 

[回答]


いかなる治療であれ、その治療をお受けになる患者さんが納得されて同意されない限りは治療は行われないということが原則としてあります(救急救命治療など、例外はあります)。


そして、ご理解をいただけると思いますが、透析患者さんお一人お一人の死生観や生命観が異なっているように、私たち医者の死生観と生命観は同一ではありません。

私の考え方、感じ方が、すべての医師に共通するものではないのです。


ですので、いただいたご質問にあるように、「透析医療の中で透析中止の扱いはどうなっているか」についてお答えをいたします。


2014年に、日本透析医学会は維持血液透析の見合わせを検討する状況として、

「多臓器不全や持続低血圧など、維持血液透析を安全に施行することが困難な場合」

「脳血管障害や悪性腫瘍など患者の全身状態が極めて不良で、かつ『維持血液透析の見合わせ』に関して患者自身が意思を明示していたり家族が患者の意思を推定できる場合」

の2つを透析治療を中止する要件として提言しています。

(「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」2014年)


これによれば、「透析がつらいから」「透析がイヤだから」という理由のみでは透析を中止する要件にはあたらないことになります。

この提言については、患者さんの自己決定権を限定するものであるという批判があることは確かです。


ですが、透析を中止することは、即座にではないにしても、その患者さんの命の維持を停止することになり、患者のたっての希望があっても刑法第202条によって医師が嘱託(同意)殺人罪に該当する可能性があることが指摘されています。


透析ではありませんが、人工呼吸器を停止させた医師に対して最高裁判決で刑法上の殺人罪に当たるとされた判例があります。

これは、私ども医者が関与できることではなく、司法の判断ということです。


こういったことから、透析をお受けになっている方の依頼があっても透析を中止できない(中止しにくい)環境となっており、きちんとした法整備が望まれているところです。



[回答日 2022/10/31]

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