(質問のつづき)
全自動人工透析機器で透析を受けています。私の場合3時間治療です。人工透析機器の稼働時間は2時間55分で終了します。返血時間も考慮して5分早く終了するのでしょうか?返血に要する時間は約2分で、回路の血液は多く残った状態です。返血は、回路がほぼ透明になるまで時間を掛けた方が、患者としては気分が良いです。 御回答お待ちしています。
[回答]
ご質問の回答を「透析時間の定義」と「回路内に残る血液」の2つに分けて説明させていただきます。
●透析時間の定義
保険診療上のルールとして、シャントなどに穿刺をして、回路内に血液が入った時間から返血が終了して、回路内の血液が透析をお受けになっている方のお体に返った時間まで、とされています。
ですので、質問者様の場合、3時間透析とされていて透析治療そのものは2時間55分と設定されていて、回路内に血液が入った時からと、返血に要する時間(2分とのことですね)を合わせて5分とお考えになっているものと推測をいたします。
●回路内に残る血液について
質問者様がお考えのように回路内やダイアライザー内の血液は残っていないようにするのが基本です。
私が透析治療を学び始めたころは、「もう一度使えるくらい(新品に見えるくらい)に返血する」と指導されたこともあります。
透析をお受けになっている方の合併症に貧血(腎性貧血)がありますが、この貧血の大きな要因に返血時に回路内などに残ってしまう血液の廃棄があると指摘されています。もちろん、現在は腎性貧血の治療薬がありますから、回路内などに血液が残っても貧血への対応は可能ですが、質問者様がお感じになっているように「キレイに返血されないと気持ちが悪い」のは、透析室のスタッフも同じです。
それでは、回路内に血液が残らないように返血の時間を長くすればよいか、というと、それほど簡単な話ではありません。
返血時間を長くすると、その間、返血用の生理食塩水や透析液がお体に入りますから、透析治療が終わった時点でドライウェイト(設定体重)よりも水分がお体に残ってしまうことになります。
患者さんごとに返血時間を長くしたり短くしたりするとこの返血によってお体に入る水分量が違うことになり、除水設定を変更していかなければなりません。こういった操作は医療ミスの原因となります。
また、あらかじめ設定された返血時間で血液が残ってしまう場合、そこから返血時間を延ばしても、血液が固まっていて結局キレイには返せないこともよく経験されます。
ですので、まずはすべての患者さんが同じ設定の返血時間(2分なら2分、5分なら5分)で、キレイに返血されるように、抗凝固薬=ヘパリンなどの量を調整します。
場合によっては、アスピリンなどの抗血小板薬をお飲みになっていただくこともあります。
こういった対策を講じても血液が回路などに残ってしまう場合にはダイアライザーの変更なども検討されます。
もし質問者様の回路内に毎回のように血液が残ってしまうのであれば上に書いたような対処が必要となりますので、主治医の先生や透析室のスタッフに相談をしてどのような対策が望ましいのか決めていって下さい。
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