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- [Q420]透析患者様の中に透析後に倦怠感の強い方とあまり感じない方がいます。この二者の違いの原因はどのようなことが考えられるでしょうか?
(質問のつづき) また、いつまでも不均衡症候群の続く方がいますが、これもなぜでしょうか。 [回答] ●患者様の疲れ方には個人差がある ご質問にあるように、確かに透析後にぐったりしてしまう方と、あまり変わりのない方、それに少数ではありますが、透析後の方がお元気になる方がいらっしゃいます。 私は、透析をお受けになる方やそのご家族の皆様には、「透析は疲れる治療ですよ」とお話ししています。 ですが、上記のようにその疲れ方には大きな個人差があります。 ●水分はどこに存在するのか 透析治療で何が行われているか、というと 1)尿毒素の除去 2)水分の除去(除水) 3)電解質(ナトリウムやカリウムやカルシウムなど)の調節 4)pHの調節 の4つが主なところです。 これらのうちで倦怠感の原因となるのはなんと言っても水分の除去です。 たとえばある方が透析と透析との間で2kg増えて来たとしましょう。 その増加した2kgの体重はすべて水分である、と考えて除水をします。 つまり2kg除水をするのです。 この2kgの除水は、すべて血液の中から水分を除去します。 ですが、増加した2kgの水はすべてが血管の中にあるわけではありません。 一部は血管の外に漏れて出ているのです。 この漏れた水分の代表的なものが「むくみ」です。 ●リフィリングの速さにも個人差がある 透析で除水を進めるとまず血管の中が脱水になります。 次に血管の外に漏れていた水分が血管の中に引き込まれて、血管の中の脱水を解消しようとします。 このように血管の外から血管の中に水分が引き込まれてくることをリフィリング(refilling)と呼んでいます。 リフィリングの速さには個人差があって、ある患者さんではリフィリングがスムーズなために血管内が脱水の時間がきわめて短くなります。 こういった方では、透析中の血圧は安定していることが多く、また、透析後の倦怠感が軽いことが多いのです。 反対にリフィリングに時間がかかる方では、血管内が脱水の状態が長く続くことになります。 脱水ですので倦怠感が生じ、血圧も低下して透析が大変と感じることが多くなります。 いくらリフィリングがスムーズであっても、その量には限界がありますから、体重の増加が多い方では透析後の倦怠感が強くなります。 たとえば10kg増えて来た方がいて、その水分のうち2kgが血管内、8kgが血管外にあったとしましょう。 透析で血管の中から10kgの除水をして、8kgの水分が血管内に戻ってくるまでには相当の時間がかかります。 ●ドライウェイトが適切か また、その患者さんに合ったドライウェイトを設定しないと透析後の脱水状態が強くなることがあって、倦怠感の原因となります。 私たち透析に従事するものは、透析後の倦怠感の訴えがあった時に真っ先にドライウェイトが適切な値かどうかを考えるようにしています。 ●不均衡症候群について 不均衡症候群は尿毒素をたくさん除去しようとするために起きる症状で透析導入期に起きやすい症状です。 透析導入期にあまり尿毒素を除去しないような、いわゆるマイルドな透析を設定すれば、多くの方は不均衡症候群をほとんど経験しません。 また、不均衡症候群を生じてしまった場合はグリセオールなどの薬剤を使用するとその症状がかなり軽くなります。 ですので、私の経験では長く不均衡症候群が続く方はほんのわずかしかいらっしゃいません。そしてなぜそれらの方がこの症状が長く続いてしまうのかよくわかっていません。 ここでも注意が必要なことは、ドライウェイトの設定です。 不均衡症候群の主な症状は透析後の頭痛ですが、ドライウェイトがきつくても(つまり本来ちょうどいいドライウェイトよりも少なく設定していると)頭痛がすることがあるのです。 不均衡症候群と間違われていることがありますので、その方のドライウェイトが少な過ぎないかの検討は忘れないようにしなければなりません。 [回答日 2016/3/10]
- [Q250]長年透析を受けています。すこぶる体調は良好です。今年に入って1度目の検査で、少し炎症反応が出ていると言われ 白血球が14000あると言われました。
(質問のつづき) 2週間後の検査では、同時にヘマトが29から24に下がり、 白血球が20000に上昇していると言われました。 主治医の先生からは感染症の可能性があると言われています。 思い当たることがなく、白血病ではないかと心配しています。 [回答] ●白血球が増える原因と検査方法 白血球数の正常値は、おおよそ4000から9000の間です。 14000という数値は、他にどこにも異常がなくても、 時としてみるデータですが、 20000は明らかに異常値と 考えてよいと思います。 また、14000から2週間で20000に 増えていることも気になります。 白血球が増える原因はさまざまですが、一番よく見られるのは感染症です。 しかも、この数値であれば、風邪のようなウイルス性の感染症よりも 細菌性の(バイ菌による)感染症を疑います。 原因を調べるためには、白血球像という検査を行います。 バイ菌による感染症で白血球が増えているのであれば、好中球という種類の 白血球が増えていることが多いのです。 ●ヘマトの低下や対処方法について 「炎症反応が出ている」というのはCRPという検査が 高めだったのだと推測されます。 それに加えてヘマトが下がっているのも気になります。 白血球数の増加、炎症反応、ヘマトの低下の3つからは、 主治医の先生が心配されているように、感染症の可能性が 大きいように思われます。 特に感染症の症状がなくても、これらの所見が持続したり、 あるいは場合によっては悪化する時には、 確定診断が得られなくても抗生物質を使うこともあります。 ●白血病の可能性について ご心配をされている白血病ですが、白血病には白血球数が増えるものと あまり増えないものとがあります。 白血球数が20000だからといって、すぐに白血病というわけではありませんが、 さきほど述べました白血球像という検査で、「芽球」という白血球の 子供のような細胞が認められますから、一緒に診断がつきます。 主治医の先生によくご相談なさってみてください。 [回答日 2009/9/8]
- [Q46]家族が、腎臓を片方摘出し、1つだけになっています。食事について気をつけることを教えてください。
[回答] 片方の腎臓を摘出した場合ですが、もう片方の腎臓の はたらきはどうなのかによって、気をつけることはかわってきます。 まず、残された腎臓のはたらきが正常である場合です。 食事に関して、それほど神経を使わなくてすみます。 まず、塩分制限は行っていただきたいと思います。 そうして、むくみなどがなければ、水分は積極的に 摂っていただきたいのです。 特に夏の暑い日や、風邪などで熱のある日、下痢の日などは 脱水になりやすいですよね。 脱水は腎臓にとって大きな負担となります。 飲みたくなくても、一日に1.5L程度は飲んでいただいた方が 腎臓は助かります。 さて、残された腎臓のはたらきが悪くなってきている場合です。 やはり塩分制限は、必ず行っていただきたいことがらです。 しかも、腎機能が正常の時は、塩分制限といっても あまり塩辛いものは控える程度でよかったのですが、 腎機能が悪くなっている時には、一日の食塩の量を 6-7gまで制限していただきたいのです。 この量を達成するのはなかなか困難ですから、 厳密な塩分制限、時には食事の量をはかって食べることも 必要になってきます。 水分ですが、やはりむくみがなければ、積極的に 飲んだ方が、腎臓への負担を減らすことができます。 タンパク質(肉・魚・乳製品などですね)の制限が 必要になる場合があります。 タンパク制限が必要かどうかは、残った腎臓のはたらきに よりますから、主治医の先生とよく相談してみてください。 以上のように、片方の腎臓を摘出した後の食事療法は、 透析をお受けになっている方の食事療法とは異なります。 定期的な検査(尿検査と血液の検査)をきちんと受けることも 心掛けておいてください。 [回答日 2003/10/27]
- [Q488]尿に白いカスが混じっていますが、治りますか?
[回答] ●主治医の先生にお話しをして、検査をお受けになってください まずは白いカスの「正体」を突き止める必要があります。 主治医の先生にお話しをして、オシッコの検査をお受けになってください。 ●原因として考えられること 腎臓が悪くなってからはオシッコの量が減ってきていると思いますが、オシッコには膀胱を洗い流す作用もあります。 オシッコの量が減ると、膀胱が洗われにくくなりますので、バイ菌が繁殖しやすくなり、カスのようなものが混じることがあります。 それ以外に、白血球など、お体の成分が混じって、カスのように見えることもあります。 膀胱炎(バイ菌の繁殖)であれば、抗菌薬によって治ると思われますし、オシッコの濁りが持続している方もいらっしゃいます。 ●検査を受けることが大切です 冒頭に書きましたように、検査をお受けになって、白いカスの原因を突き止めることから始めてください。 [回答日 2019/1/30]
- [Q351]最近、透析治療中のかゆみがひどいです。かゆみの原因としてはカリウム、リンがきちんと抜けていないという事ですか。対処方法としてはダイアライザーを変更すると良いのでしょうか。
[回答] ●かゆみに悩まされている方は少なくない 透析をお受けになっている方で、かゆみに悩まされている方は少なくありません。 かゆみが出る方の多くは、透析治療中に限らず、透析のない日でもかゆいことがほとんどで、中にはそのために十分な睡眠ができない方もいらっしゃいます。 ●かゆみの原因 かゆみの原因は今のところ特定されていませんが、主として (1)尿毒素(副甲状腺ホルモンを含む) (2)皮膚が乾燥しやすいこと の二つが複合してかゆみが悪化していると考えられています。 ご心配になっているカリウムやリンは、直接の関係はあまりないとお考えいただいてよいと思います。 また、ご質問によると透析治療中のかゆみが主なようです。 だとすると、上記の尿毒素や皮膚の乾燥ではなく、何か透析治療の中にかゆみの原因となっているものがありそうです。 ●対処方法について ダイアライザーは血液が接触しますから、血液とダイアライザーの素材との相性が悪いと、かゆみをひきおこすかもしれません。 また、ダイアライザーから溶出して血液の中に入ってくる物質があることも知られていますので、これらがかゆみの原因となるかもしれません。 そういった点を考えると、ダイアライザーを変更してみて、かゆみが軽くなってくるかどうかを確認することは大切なことだと思います。 もしダイアライザーを変更してもかゆみの程度に変化がなければ、次の原因をさがすことになりますし、その間もかゆみが続いてしまいますから、原因がわかる前にかゆみ止めなどの薬で治療を先行させることもあります。 主治医の先生とよく相談をしながら、原因究明と治療をお受けになってみてください。 [回答日 2013/3/29]
- [Q551]薬学生です。服用している薬を見て透析前あるいは透析中と判断をつけるポイントはありますか?何の薬を飲んでいれば透析中あるいは透析前でしょうか?
[回答] どのような薬であれ、服用のタイミングを決めるのは医師の仕事で、かつ医師の責任です。 例えば、一般的に食後の薬であっても、医師が「食前」と指定して処方すれば食前の服用になります(ホントにそれで間違いないか、薬剤師さんがチェックしてくれますが)。 ですので、薬を見ただけで、その薬をどのタイミングで飲むのかを判断(推定)するのは難しいことです。 それをご承知いただいた上で、以下の回答をお読み下さい。 (1)昇圧薬 血液透析は除水などの影響で治療中に血圧が下がりやすく、過度の血圧降下は治療の妨げにもなります。 その血圧下降を防ぐために、透析前(透析日の朝食後や来院して透析の始まる前)に昇圧薬を服用する患者さんがいます。 また、透析治療の後半に血圧が下がり、透析前の服用では薬効が切れてしまう患者さんもいて、その場合は、透析開始2時間目などの透析中に服用してもらうこともあります。 具体的な昇圧薬は、 アメジニウム(先発品の商品名:リズミック) ドロキシドパ(同:ドプス) ミドドリン(同:メトリジン) などです。 (2)降圧薬 上の昇圧薬と反対になりますが、患者さんによっては透析治療を開始すると血圧が上昇する方がいらっしゃいます。 レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が賦活されるからだと考えられています。 こういった患者さんの多くは、普段から(透析日にも透析日以外にも)降圧薬を服用していますが、透析中に普段よりも血圧が上昇してしまう場合には、透析前に降圧薬を追加することがあります。 降圧薬には何種類もありますが、私はカルシウムチャンネルブロッカー(ニフェジピン徐放剤、先発品の商品名:アダラートCRなど)を処方しています。 (3)抗血小板薬 血液透析では、血液がダイアライザーや回路の中を通過します。 この際に、異物に触れることが刺激になって、血液が凝固しやすくなります。 この凝固を防ぐために、抗凝固薬であるヘパリン(注射薬)を血液回路に持続注入します。 多くの場合は、このヘパリン投与でダイアライザーや回路内の凝血を防ぐことができるのですが、患者さんによってはそれでも血液が固まる方がいらっしゃいます。 そのような場合には、透析前に抗血小板薬のアスピリンを服用していただくことがあります。 効果が早く出るように、「かみ砕いて服用」という指示を付記することもあります。 なお、虚血性心疾患や脳梗塞の既往がある方でも抗血小板薬を服用していただきますが、この場合には透析日と非透析日で服用量を変更することはほとんどありません。 参考になったでしょうか。 薬学部の勉強も大変だと思いますが、がんばって下さい。 [回答日 2022/9/2]
- [Q559]最近、注目されているTGCVという疾患はどういった病気ですか?透析を受けていると発症しやすいですか?
[回答] ●TGCVとは TGCVは 「中性脂肪蓄積心筋血管症(ちゅうせいしぼうちくせきしんきんけっかんしょう)」 の略で、2008年に大阪大学大学院医学系研究科 特任教授の平野賢一先生が世界で最初に発見された疾患です。心臓の筋肉は中性脂肪(TG)をエネルギーとして活用しているのですが、TGCVではこの中性脂肪の構成要素である長鎖脂肪酸をうまく使うことができず、心臓の筋肉や血管に中性脂肪が蓄積します。また中性脂肪をエネルギー源として使えないので、 心臓はエネルギー不足 になってしまいます。その結果として 重症心不全、心筋症、狭心症 などをきたします。 糖尿病の方や透析治療をお受けになっている方の中にTGCVの方が一定の割合でいることがわかっています。 ●TGCVの症状 TGCVでは、心臓のエネルギー不足の結果として心臓がうまく働くことができず、 息苦しさ、息切れ、不整脈、むくみ、疲れやすい などの症状が出やすくなります。また、心臓に酸素やエネルギーを供給する冠動脈という血管に中性脂肪が蓄積して、この血管が細くなることによって 胸の痛みなどの狭心症の症状 が出ることもよくあります。そのほかに 寒がりになる といった、心臓に直接関係ないと思われる症状が出ることがあります。 TGCVに罹患(りかん)されている方の中には、上記の症状から「通常の動脈硬化による狭心症」「心臓の虚血による心不全」「長期の透析治療による心不全」などと診断され、 TGCVであることが見逃されている方が少なくありません。 これは医師の中でもこのTGCVについて十分に知られていないことによります。 ●TGCVの診断するために それでは、TGCVをどのように診断するかですが、まずは疑うことが大切です。 上記のように、糖尿病の方、血液透析をお受けになっている方にはTGCVが隠れている可能性があります。また、糖尿病や腎臓病がなくても、 狭心症で風船の治療を何度も繰り返しお受けになっている方や、狭心症の症状である胸痛がお体を動かしている時と安静にしている時の両方で出る方、ニトログリセリンの効きが悪い方 などもTGCVを疑うきっかけになります。単に心不全と診断されている方もTGCVを疑ってみることをお勧めします。 ●TGCVを診断するための検査 診断のための検査ですが、通常の心臓超音波検査(エコー)などで心臓の状態を調べたあと、 心筋 BMIPPシンチグラフィ(SPECT:スペクト) というあまり聞き慣れないかも知れませんが、 痛みがなく害もない検査 で確定されます。この心筋BMIPPシンチグラフィは、 TGCVの診断において極めて重要な検査 であるとされ、患者の9割において診断根拠となっています。 これ以外には心筋生検やCT・MRによる心筋への中性脂肪蓄積が診断の根拠とされますが、一般的に行われている検査ではありません。 このため、私たち偕行会グループでは心筋BMIPPシンチグラフィを積極的に行い、TGCVの患者さんの診断に力を注いでいます。 なお、病気の名前に「中性脂肪」という言葉がつきますが、 血液の検査の中性脂肪の値とTGCVは関係がありません ので、血液検査で異常がなくても油断は禁物です。 もしご自身やご家族・ご友人の中にTGCVではないか、という方がいらしたら、主治医の先生に一度、ご相談ください。 ●TGCVの治療方法 いざTGCVという診断がついた場合ですが、治療としては トリカプリン という成分を主体としたお薬の治験が準備中です。現在のところ、保険が適応されるお薬ではありませんが、このトリカプリンはサプリメントとして販売されていて入手可能です。高額なのでなかなか皆さんにお飲みいただくわけにはいきませんが、治療が必要となった場合には主治医の先生に相談をしてみて下さい。 余談なのですが、このトリカプリンは腹部大動脈瘤という重大な病気に対しても有効な可能性があり、臨床研究が始まっています。今後もTGCVという病気がどのような性質をもっているのか、トリカプリンが心臓と血管のどのような病気に効いてくれるのかに注目していく必要があると考えています。 [回答日 2023/7/5] ▼YouTubeの関連動画
- [Q71]シャントをしている側の手で重たい物をもつのは良くないのでしょうか?
[回答] シャント 側の手で重たいものを持たないように、という指導を 私たちのクリニックではしておりません。 したがって、どのくらい重いものがいけないか?というご質問には、 「いくらでも重いものを持ってくださって結構です」 というお答えになります(これはちょっとオーバーな表現ですが)。 実際にシャント側の手で重いものを持つことによって シャントがダメになることはないと思います。 いけないのは、シャントの血管を圧迫することです。 ですから、 ●シャント側で腕まくらをする ●きついサポーターやリストバンドをする ●腕にバッグなどを掛けてお持ちになる とかいったようなことを避けていただければ、あとは何をしてもいいですよ、とお話ししております。 私たちのクリニックには運送業の仕事をしている患者さんがいて、 かなり重い荷物でも持ち上げています。 また、患者さんの会(腎友会といいますね)でボーリング大会があり、 利き腕にシャントをお持ちの方も、参加されています。 [回答日 2004/6/29]
- [Q86]シャント側の腕で血圧測定や採血、腕時計などしてはいけないのですか?
[回答] 血圧測定や採血を一度でもしたら、 シャント が止まってしまうということは ないと思いますが、シャントを長持ちさせることは、透析治療にとっては とても重要なことですので、やはり避けておきたいことです。 まず、血圧測定と採血についてです。 前腕にシャントがある場合に、上腕を締め付ける血圧測定が 好ましくないのは、血圧を測定するときに(手動であっても 自動の血圧計でも)、もっとも加圧をされたときにはシャントの 血流が止まっているからです。 血圧の測定が終了すれば、またシャント血流は再開をしますから、 上に書いたように、それだけで止まってしまうことはないと思いますが、 シャントに負担をかけることにかわりはありません。 基本的に、シャント側の腕で血圧を測ることは避けていただきたいと 思います。 採血についても同様です。 採血の時には駆血帯というゴムで腕をしばりますが、 この時にはシャントの血液が止まっているか、あるいは 弱くなっているのです。 透析で使用する血管に針を刺して採血をすることは、 もちろん避けていただきたいですし、それ以外の血管から 採血をするのも、上記のようにシャントには好ましくありません。 やはり、(透析の時以外の)採血はシャント側の腕で行わない方が よろしいと考えます。 次に、腕時計についてです。 シャントの吻合部が手首にあって、ちょうど腕時計があたる位置の場合には、 シャントを圧迫することになりますからやめていただきたいと思います。 シャントの吻合部が、手首よりも肘に近い場所にあって、仮に腕時計をしても シャント血管を圧迫する可能性がなければ、シャント側の腕に 時計をしていただいても、差し支えはありません。 シャントの血管は、吻合部だけでなくその下流も、圧迫はできるだけ 避けたいものです。穿刺をするときや検査(シャント造影)の時の 駆血、透析終了後の止血以外には、なるべく圧迫をしないことを 心掛けてください。 [回答日 2004/11/9]
- [Q240]アルブミンを上げる為に有効なことを教えてください。
[回答] ●アルブミンについてとアルブミンが低下してしまう理由 アルブミンは血液の中の重要なタンパク質の一つです。 タンパク質ですからアミノ酸を原料として、体内では肝臓で作られています。 ですから、食事を摂るところからアルブミンから作られる以下の 4つの各段階において問題があると、アルブミンが 低下してしまうことになります。 (1)食事で十分なタンパク質(肉・魚・乳製品など)をお摂りになっていること。 (2)食べたタンパク質が、消化管(胃や腸)できちんと消化されてアミノ酸となり、 そのアミノ酸が血液中に吸収されていること。 (3)アミノ酸が肝臓に運ばれ、その肝臓でのアルブミンの合成が滞りなく 行われていること。 (4)作られたアルブミンが、異常に壊されていないこと。 ●アルブミンを上げるのは簡単ではない理由とは 透析をお受けになっている方にとって、血液検査でのアルブミンの値が 重要であることは知られています。 下がってしまうといけませんよ、ということですね。 ではどうやってアルブミンを上げていくか、となると、これが 簡単ではありません。 先ほどの4つの段階毎に説明していきます。 まず、(1)の食事ですが、透析をお受けになっている方ではタンパク質が 不足していることが少なくないことが報告されています。 つまり、もっとタンパク質をお食べになった方がよい、ということになるのですが、 これには問題があります。 タンパク質を摂りすぎるとリンが上昇してしまうことです。 ですから、適切な食事のタンパク質の量と、リンを下げるお薬との 調整をきちんとする必要があります。 この点については、主治医の先生や管理栄養士の方と よく相談をしてみて下さい。 (2)についてですが、お食べになったタンパク質のうち、 どのくらいがアミノ酸に消化されて、そのうちの何割くらいが 吸収をされているのかは、計ることはできませんが、 通常は透析をお受けになっている方でも、消化吸収には 問題ないことが多いようです。 (3)のアルブミンの合成ですが、アミノ酸が十分にあれば、 肝臓でのアルブミンの合成も問題なく行われることがほとんどです。 ただし、肝硬変など、肝臓の病気をお持ちの方は、アルブミンの合成が 低下することが多いですから、注意が必要です。 (4)のアルブミンの破壊(異化と言います)ですが、 透析をお受けになっている方では これも問題となります。 透析不足や二次性副甲状腺機能亢進症、原因不明の炎症などが あると、アルブミンが壊されてしまい、血液検査でアルブミンが 低下することが指摘されています。 ●まとめ(アルブミンを上げるための3点) 以上をまとめると、アルブミンを上げるためには (1)十分なタンパク質をお食べになること。ただしリンの値に注意が必要ですから 主治医の先生や管理栄養士の方と相談をしながら 食事療法 を進めてください。 (2)十分な透析をお受けになること。時間を延ばし、ダイアライザーを大きくし 血流を増やして、透析での尿毒素の除去を増やすことが大切です。 (3)二次性副甲状腺機能亢進症や炎症などの合併症があれば、その 治療をお受けになること。 の3点が大切です。 [回答日 2009/4/22]
- [Q565]動物性たんぱく質を意識した方が良いのでしょうか?
(質問のつづき) 透析治療中で鉄分とたんぱく質が不足している現状です。ホエイプロテインを最近飲み始めましたが無機リンが多いかも知れません。今はリンやカリウムの薬は出ていません。筋力が落ちて足がダルいです。 [回答] 質問者様が飲用されているプロテイン販売メーカーのホームページを見てもリンの含有量は公開されていないようでしたが、一般論として、タンパク質の補給を目的として「プロテイン」と称して売られている補助食品のリンの含有量はかなり少なめです。 もし、リンが上がってしまうことをご心配されるのであれば、 お肉、お魚、乳製品などの動物性たんぱく質 の方が、 リンが多く含まれている ことをお知りになっていただきたいと思います。 > 今はリンやカリウムの薬は出ていません。筋力が落ちて足がダルいです。 現在、リンやカリウムのお薬が出ていないということはそれらの値が目標範囲内にあるか、または、低めである、ということですね。 そうであれば、リンについてはあまり気になさらずに積極的にタンパク質をお摂りになってよいと考えます。 また、カリウムは低すぎるとお体のだるさや筋力低下の原因となります。 もし目標範囲よりも低めであれば、カリウムをお摂りになることも考える必要があるかも知れません。 全体的な栄養状態を知るための目安として、アルブミンの値がよく使われます。 もし、アルブミンの値が低いようであれば、タンパク質だけではなくカロリー(エネルギー)の摂取が足りているかどうかもチェックする必要があります。 透析をお受けになっている方の栄養は、何か一つを守ればよい、というものではありません。 主治医の先生や管理栄養士、透析室の看護師などと相談をしながら どのようなお食事がよいのか、お決めになってみて下さい。 [回答日 2023/9/13 ]
- [Q564]透析時間の定義はありますか?
(質問のつづき) 全自動人工透析機器で透析を受けています。私の場合3時間治療です。人工透析機器の稼働時間は2時間55分で終了します。返血時間も考慮して5分早く終了するのでしょうか?返血に要する時間は約2分で、回路の血液は多く残った状態です。返血は、回路がほぼ透明になるまで時間を掛けた方が、患者としては気分が良いです。 御回答お待ちしています。 [回答] ご質問の回答を「透析時間の定義」と「回路内に残る血液」の2つに分けて説明させていただきます。 ●透析時間の定義 保険診療上のルールとして、シャントなどに穿刺をして、回路内に血液が入った時間から返血が終了して、回路内の血液が透析をお受けになっている方のお体に返った時間まで、とされています。 ですので、質問者様の場合、3時間透析とされていて透析治療そのものは2時間55分と設定されていて、回路内に血液が入った時からと、返血に要する時間(2分とのことですね)を合わせて5分とお考えになっているものと推測をいたします。 ●回路内に残る血液について 質問者様がお考えのように回路内やダイアライザー内の血液は残っていないようにするのが基本です。 私が透析治療を学び始めたころは、「もう一度使えるくらい(新品に見えるくらい)に返血する」と指導されたこともあります。 透析をお受けになっている方の合併症に貧血(腎性貧血)がありますが、この貧血の大きな要因に返血時に回路内などに残ってしまう血液の廃棄があると指摘されています。もちろん、現在は腎性貧血の治療薬がありますから、回路内などに血液が残っても貧血への対応は可能ですが、質問者様がお感じになっているように「キレイに返血されないと気持ちが悪い」のは、透析室のスタッフも同じです。 それでは、回路内に血液が残らないように返血の時間を長くすればよいか、というと、それほど簡単な話ではありません。 返血時間を長くすると、その間、返血用の生理食塩水や透析液がお体に入りますから、透析治療が終わった時点でドライウェイト(設定体重)よりも水分がお体に残ってしまうことになります。 患者さんごとに返血時間を長くしたり短くしたりするとこの返血によってお体に入る水分量が違うことになり、除水設定を変更していかなければなりません。こういった操作は医療ミスの原因となります。 また、あらかじめ設定された返血時間で血液が残ってしまう場合、そこから返血時間を延ばしても、血液が固まっていて結局キレイには返せないこともよく経験されます。 ですので、まずはすべての患者さんが同じ設定の返血時間(2分なら2分、5分なら5分)で、キレイに返血されるように、抗凝固薬=ヘパリンなどの量を調整します。 場合によっては、アスピリンなどの抗血小板薬をお飲みになっていただくこともあります。 こういった対策を講じても血液が回路などに残ってしまう場合にはダイアライザーの変更なども検討されます。 もし質問者様の回路内に毎回のように血液が残ってしまうのであれば上に書いたような対処が必要となりますので、主治医の先生や透析室のスタッフに相談をしてどのような対策が望ましいのか決めていって下さい。 [回答日 2023/8/19 ]
- [Q562]左下左腕の穿刺付近に赤茶けた血痕のような斑点が表面上にまばらに点在しています。治る気配がみられません。処方を教えて下さい。
(質問のつづき) 表面は乾いており、痛み・かゆみはありません。主治医からアンテベートの塗薬を処方してもらい塗布しているが一向に治りません。下腕をよく使用している、無意識に壁・柱に当たる、衣服の脱着時に擦れる、などの要因で、毛細血管を圧迫し、にじみでたのか?血液サラサラの錠剤を飲んでいるので毛細血管にも影響しているのでしょうか?このような症状は過去に大小何回かありましたが数日で治りました。今回はひと月もかかっています 。 [回答] アンテベートは皮膚炎など(湿疹、かぶれなど)に用いられる比較的強いステロイド剤(副腎皮質ホルモン)です。 まず皮膚炎群ではかゆみを伴うことが多く、表面がざらざらしたり湿潤したりすることが多いですから、このアンテベートが効かないこととあわせて、皮膚炎群の可能性は小さいものと考えます。 ●斑点について ご心配をされている血液サラサラのお薬の影響ですが、皮下出血の場合には「青たん」「青ずみっている」と呼ばれている局面と、点状出血と呼ばれるポツポツした出血のどちらかになります。 「赤茶けた血痕のような斑点」とのことですので、この皮下出血の可能性の方が大きいのではないかと思われます。 血液透析をお受けになっている方では、どこかにぶつけた記憶がないのにこの皮下出血ができてしまうことは珍しくありません。 また、これまでは時間の経過でよくなっていたものが、今回はよくなる傾向にないとのことですが、皮下で出血した血液が吸収されにくくなり、あざのように沈着することも時々経験いたします。 もし皮下出血であれば、時間がかかっていてもお薬(飲み薬、塗り薬)は不要です。 まずは、皮膚科の先生を受診されて皮下出血なのか、他の原因によるものか診断をつけていただくことをお勧めいたします。 [回答日 2023/6/28 ]
- [Q561]透析シャント作成初期、脱血側の穿刺針は血流の向きと逆に穿刺するのはなぜですか。
[回答] シャント手術をして間もない時や、シャント血管の発達が悪く血管が細い場合には、脱血用の針を血流の向きに刺すと十分な血流が取れないことがあります。 q561-透析シャント作成初期、脱血側の穿刺針は血流の向きと逆に穿刺するのはなぜですか。 血管が細いために、針と血管の内壁との隙間が狭く、そこを通る血液が少なめになってしまうためです。 穿刺針を血流の向きと逆にすれば、穿刺針に直接血流が向かってきますので、血流が取れやすくなります。 このように考[q561]透析シャント作成初期、脱血側の穿刺針は血流の向きと逆に穿刺するのはなぜですか。えると、シャントを作って間もない時だけではなく、十分に発達したシャントでも、脱血用の針を血流と逆に刺した方が自然な流れとなりますので、原則的に脱血は血流と反対向き、返血は血流と同じ向きに刺している施設が多いと思います。 [回答日 2023/6/16 ]
- [Q560]穿刺針の穿刺方向の遠心性、求心性の意味を教えてください。また、順行性、逆行性とは違う意味ですか?
[回答] 透析シャントに穿刺をする際に、針を刺す方向についての呼び方が、施設によっても異なっているようです。ご質問の、遠心性と求心性ですが、その血管を流れる血液が心臓から遠ざかっている場合は遠心性、心臓に帰って行く方向の場合は求心性と表現します。 標準的な手首にある自己血管のシャントの場合、手首から肘、肩に向かって血液が流れていますから、その方向は求心性ということになります。 順行性と逆行性と表現する場合は、血液の流れる方向だけを考え、その流れが心臓から遠ざかるかどうかは問題としません。 上記のように自己血管あるいは人工血管のシャントの場合には、求心性と順行性は同じ意味となり、遠心性と逆行性が同じ意味となります。 ですが、例外が動脈の表在化でして、この場合は血液の流れは心臓から遠ざかる遠心性が順行性となります。 ややこしいですし、誤解を招きやすいですね。 私はシャントの方向を上流・下流と表現しますが、これも表在化動脈の場合には反対となってしまいます。 最初に書きましたように、各透析施設での表現が異なる場合があります。 最も間違いが少ないやり方は、それぞれの患者さんのシャントを写真に撮らせていただいて、その写真に赤や青で矢印を記入するやり方だと思っております。 [回答日 2023/6/16 ]
- [Q563]透析は濾過と除水であると勉強していますが、頻繁に加水・追加加水するものでしょうか?
(質問のつづき) 透析治療を始めて一ヶ月になりますが、今のところ体重がDW以下であるため除水は無く、DWまで加水されます。加水されると、透析を中断しトイレに走ります。加水した分だけ尿として出ます。そうすると再度、加水します。 ※多い時は1200ccも加水します。加水は心臓に負担がかかり、心不全になるでは?と不安を感じています。 [回答] 透析を始められて、1か月ということで、まだ十分にオシッコが出ているようですね。 透析開始後、むしろそれ以前よりもオシッコの量が増えているかも知れません。尿毒素が除去されて、尿量が増えてくることは時々経験します。 透析開始前の体重測定で、増加がない(マイナスになっている)とその分、透析で水分を補給して、脱水を防ごうとします。 これは、透析をお受けになっていただいても、できるだけご自身の腎臓の働き(残存腎機能と言います)を守って、長くオシッコが出るようにするためです。体が脱水になってしまうと、尿量が減りやすくなってしまいます。 透析で水分を補給されてしまうと、透析中にオシッコに行きたくなって大変かと思いますが、上記のように、ご自身の腎臓にも長く働いてもらうためには重要なことです。 透析中にトイレに行きたくなったら、我慢をせずにどうぞスタッフに伝えてトイレに行って下さい。 ●心臓への負担について 腎臓や透析に関して、とても勉強をされているようで水分の補給のし過ぎは心臓に負担をかけるというご心配はその通りです。 ですので、心臓には負担をかけないように、しかも脱水にならないように体重の設定をして、水分の補給や除水を行うのが私たち腎臓医・透析医の大切な仕事です。 心臓への負担に関しては、ご心配なさらずに治療をお受けになっていただいてよいと考えます。 [回答日 2023/7/22 ]
- [Q387]プロテインを取るということはリンを取ることと同じ様に考えたら良いのでしょうか?プロテインに含まれるリンの量はどのくらいでしょうか?
[回答] ●プロテインに含まれているリンの量 サプリメントとしてのプロテインにどのくらいのリンが含まれているかは、それぞれのメーカーによって異なると思いますが、基本的にはリンの含有量はかなり少ないと考えていただいてよいと思います。 タンパク質(つまりプロテインですね)はアミノ酸から合成されていますが、このアミノ酸にはリンは含まれていません。 ですから、タンパク質=プロテインにもリンは含まれないのです。 サプリメントでタンパク質=プロテインだけを摂取するのであれば、この一緒についてくるリンはありませんので、リンが上昇する心配はあまりされなくてよいと考えます。 同じ理由で、アミノ酸のサプリメントでもリンの上昇の心配はありません。 ●食事でタンパク質を摂取するとリンが上昇してしまう理由 しかし、食事でタンパク質を摂取するとリンが上昇してしまうと言う事はよく聞かれることだと思います。 タンパク質が多い食事、肉や魚、乳製品にはタンパク質以外にリン酸塩やリン脂質が多く含まれているからです。 つまり、食事でタンパク質を摂ろうとすると、リンが一緒についてきてしまうのです。 ●2つの注意していただきたいこと 2つ注意していただきたいと思います。 1つは、上に書きましたようにプロテインそのものにはリンが含まれませんが、添加物としてリン酸化合物が含まれる可能性はあります。 成分表示をきちんとご覧になること、成分が公開されていないサプリメントは避けていただくことをお勧めします。 2つ目ですが、アミノ酸にしてもプロテインにしても窒素が豊富に含まれています。 これらが筋肉になってくれれば問題ありませんが、もし筋肉を作ることに利用されないと、いわゆる尿毒素になってしまいます。 運動量とのバランスが大切だ、ということになりますし、プロテインやアミノ酸をサプリメントでお摂りになってみて、血液検査で尿素窒素(BUN)が大幅に上昇するようなことがあれば、主治医の先生と相談をして、そのサプリメントを継続してよいかどうかをチェックしてもらってください。 [回答日 2014/10/28]
- [Q77]ふだんの血圧が150前後で、透析中に血圧が200近くになり、ふらつくこともあります。大丈夫でしょうか?
[回答] 透析中に血圧が上昇する方の中には、普段の血圧は高くないのに 透析中だけ血圧が高くなる方と、普段も高めで、透析中に もっと高くなる方の2通りのパターンがあります。 普段の血圧が150以上ということですので、 どちらかというと、後者のパターンだと思われます。 普段から高めで、かつ、透析中にもっと上がってしまうのであれば、 その血圧は下げておきたいと思います。 ふらつきという症状が出ていればなおさらですよね。 血圧を下げる方法は、透析をお受けになっている方の場合は、 体重(ドライウェイト)を下げるか、降圧薬を増やす・強くするかの 方法があります。 どちらの方がよいかは、主治医の先生に相談をしてみてください。 もし、糖尿病を合併されている場合は、 血圧は変動しやすいので、下がりすぎにも注意が必要です。 ドライウェイトを下げるのであれ、降圧薬で調節するのであれ、 普段の血圧測定をこれからも継続していただき、下がりすぎることが ないかどうかもチェックしてみて下さい。 [回答日 2004/8/10]
- [Q548]認知症患者が血液透析治療を受ける場合、治療に付き添う必要があるとインターネットで読みました。病院によって、基準は異なると思いますが、どのような状況だと付き添う必要が生じるのでしょうか。
(質問のつづき) また、病院によって認知症の患者は治療が断られるとあったのですが、どれくらいの重症度だと断られるのかを教えて頂ければと思います。 [回答] ご質問にあるように、病院によって付き添いをお願いする目安は、かなり異なると思いますので、その点をご承知おきいただき、Q&Aをご覧いただければと存じます。 ●認知症を合併している方の透析治療について ご高齢の透析患者さんが増えており、 それに伴い認知症を合併している方も増加しています。 認知症を合併していても、多くの方は穏やかに血液透析をお受けになって いらっしゃいます。 ●付き添いをお願いする例 1)ご家族が近くにいないと不穏になってしまう方 2)透析ベッドから起き上がろうとしてしまう方 血液透析という治療やスタッフに慣れていただけば、穏やかになることがありますので、治療の開始当初には付き添いをお願いすることがあります 3)透析治療中に針を抜いてしまう方、抜こうとする方 針を抜くと大量に出血し、命に関わることがあります などの場合には、付き添いをお願いすることがあります。 また、病院スタッフや他の患者さんに対して、暴力的な言動をされる方などの場合は、治療をお断りすることがありうると考えます。 [回答日 2022/8/9]
- [Q549]毎日体重計に乗って食事と水分量を調整しているのですが、DWを下げられてしまったら、その体重に合わせてまた食事を減らさなくてはならないということですか?
(質問のつづき) 痩せている自覚もなく食欲もあるので、DWを下げられると、また食事を減らさなきゃと辛くなります。 [回答] このようなご質問は、多くの患者さんから寄せられます。 まず、DWを下げようと指示が出た場合ですが、食事を減らす必要は全くと言っていいほどありません。 減らしていただきたいのは塩分と水分だけであって、エネルギー(カロリー)やタンパク質などは、これまで通りでよいですし、場合によっては増やしていただいた方がよいこともあります。 「DWを下げましょう」ということは「検査結果などを診るとお痩せになってしまったようだからそれに合わせて体重の設定を下げましょう」ということでして、 「痩せなさい」と言っているわけではありません。 透析と透析の間で体重が増えてしまうことは抑えていただきたいですが、透析間の体重増加はほとんどが水分です。 一日や二日でお肉(筋肉でも脂肪でも)が急に付いてくるということはありません。 そのために、塩分制限や水分制限の必要性については強調されます。 一方、長い目で見た場合、筋肉や脂肪が付いてくる、つまり太ってくるということはよくあることで、その場合にはDWを上げる必要が出てきます。 反対に、筋肉や脂肪が落ちてきてしまえば、それはお痩せになったということですからDWを下げることになります。 食欲があってお痩せになっている自覚はない、ということですが、 どのようにして「痩せてきている」と判断をするかというと、上に書きましたように定期的に行われている検査などから、です。 まず、お痩せになってくると透析中の血圧が高くなることが多いです。 胸部レントゲンで、心臓(心胸比)が大きくなってくると、お痩せになった可能性を考えます。 血液検査で、hANP(ハンプと呼ばれます)という項目があり、この検査結果が高くなってくると、DWを下げていくことを検討します。 繰り返しになりますが、痩せなさいと言うことではありませんので肥満が問題となっているのでなければ、食事の内容を減らす必要はないと考えます。 主治医の先生や管理栄養士の方と相談をしながら、食事の量や内容について決めていって下さい。 また、食事だけでは痩せていくことを防げないこともあります。 適度な運動、特に息切れがしない程度の有酸素運動(散歩などです)が有効なことが知られています。 さらには、チューブ・トレーニングなどのレジスタンス運動という運動もよいことがわかってきています。 透析をお受けになっている医療機関でも、透析中の運動を勧められているかもしれません。 もしそうであれば、痩せていくことの予防としても、積極的に運動に参加をしてみて下さい。 [回答日 2022/3/31]