(質問のつづき)
あと、よく血液透析を行っている方で、決められた量以上の水分を摂取すると苦しくなる方がいますが、これも血管内の静水圧上昇と心臓への負担が関係していると思いますが、どうでしょうか?
[回答]
●浮腫みの有無の要因
ご質問にある通り、静水圧の影響も大きいです。
浮腫みの有無は次の3つの要因によって決められます。
(1)膠質浸透圧
浸透圧は高い方へ(濃い方へ)水分が移動するという原理があります。
したがって血液の浸透圧が低下すると水分が血管外へ逃げやすくなって浮腫となります。
血液の浸透圧は、全部ではないですが、ほぼアルブミンの濃度で決定して、この場合、膠質浸透圧と呼ばれています。
(2)静水圧
これがご質問にある通りです。
血管内の水分が多くなれば、それだけ血管内の圧力が高くなりますから、水分は血管外に出ようとします。
ですから、静水圧が高いほど浮腫が出やすくなります。
(3)血管の透過性
何らかの原因で、血管が水分を漏らしやすい状態になることがあります。
火傷をすると水疱(水ぶくれ)ができますよね。
あれは血管の透過性が大きくなったために、浮腫とは違いますが、血管外に水分が出てきたものです。
これと似たような仕組みで、透過性が大きくなると水分が血管外に出て、浮腫を生じることがあります。
ですから、浮腫が出るかどうかは、上記の(1)から(3)のバランスで決まる、とお考えいただきたいと思います。
●苦しくなる原因
決められた量以上の水分を摂取すると苦しくなる原因についてですが、これもご指摘の通りです。
水分の取りすぎは静水圧を上昇させます。
このため浮腫みが出やすくなるのは、上に書いたとおりです。
この時に、足などが浮腫むのは、極端なことを言えば生命には影響がありません。
しかし、肺が浮腫むことがあるのです。
肺水腫と呼ばれますが、肺に水分がにじみ出てくると、酸素が血液に溶け込むのをこの水分が邪魔をして、血液中の酸素が低下します。
これが息苦しくなったり、息切れがしたりという自覚症状となるのです。
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