[回答]
●家庭透析とは
家庭透析は文字通り、家庭(ご自宅)で血液透析をおこなう在宅医療です。
お仕事を積極的にされていて、十分な透析時間が確保できない方などには、 とてもいい治療の方法です。
透析の機械(コンソールといいます)はレンタルされます。
透析液やダイアライザー・血液回路など、消耗品は宅配便で送られてきます。
いずれも保険適応となっていますので、原則的に医療費は通院透析と同額です。
金銭的に負担が増えるわけではないことも、とても大事なことです。
●家庭透析のメリット
透析施設のように診療時間が決められていないので、ご自分の都合に 合わせて透析時間を設定できる
通院の手間がない
透析治療中も家族との食事や団らんを楽しむことができる
もっとも大きなメリットは1かと思います。
●家庭透析のデメリット
自己管理がルーズになる可能性がある(週3回、口うるさい主治医や スタッフと顔を合わせなくてすむわけですから・・・)
穿刺をご家族が(あるいはご自身で)行わなければならない
トラブルが生じたときの対処法を習っておく必要がある
トラブルが生じたときの医療施設側のバックアップ態勢が整備されて いる必要がある
などがあげられます。
1については、自己管理のできない患者さんには、主治医が家庭透析を 許可しません。
2は意外と問題ないようです。
当院で通院透析をお受けになっていて、 昨年家庭透析に移られた方がいらっしゃいますが、この方はご家族が 針刺しを行っていて、うまくいっているようです。
●家庭透析の導入にあたっての課題
現在、CAPDを含めて約24万人の方が透析をお受けになっています。
そのうち、家庭透析をお受けになっている方は100名程度です。
せっかく家庭透析に保険が適応されるようになったのですが、 思ったよりも普及していないのが実情です。
日本での普及が進んでいないのは、デメリット2~4について、 患者さんやそのご家族に家庭透析のこと、穿刺のことなどを教育する スタッフや教育の制度、トラブル発生時のバックアップ態勢が、 なかなか整備されないからです。
特に、バックアップ態勢は、家庭透析の多くが夜間、あるいは 深夜に行われることから、各透析医療施設が家庭透析を 導入するのに躊躇をしてしまう原因です。
家庭透析は仕事をなさっていて、自己管理もきちんとできる方には とてもいい治療法です。
もしチャンスがあれば、是非トライしていただきたいと思っております。
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