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「」に対する検索結果が557件見つかりました

  • [Q57]人工透析では1人当り平均何リッター位のお水を使用するのでしょうか?

    [回答] 「透析治療に使用される水の量」ということでお答えさせていただきます。 透析では、「透析液」という液が治療で必要ですが、 1分間に400~500mL使用します。 再使用はできませんので、4~5時間の治療では、 この透析液を96~150L使うことになります。 これが一人の患者さんに使用される「透析液」の量です。 この透析液は、水道水を処理して、透析施設で作られます。 安全な透析液とするために、水道水をそのまま利用するわけにはいきません。 おおよそですが、3~4割の水が、この処理によって捨てられてしまいます。 したがって、血液透析は、とてもたくさんの水を必要とする治療なのです。 地震などの大きな災害で、断水をしてしまうと、透析治療ができなくなって 困るのも、この透析液が作れなくなってしまうからです。 [回答日 2004/2/23]

  • [Q56]透析を月・水・金の3日間となった場合、 土・日の2日間は人工透析が行なわれないと聞きました。 1日の水分制限や食事制限がある場合の摂取量は、 どのようにコントロールしていくのでしょうか?

    [回答] 血液透析が開始されたあとの、水分制限・食事制限は、 二日あいた日、ご質問の例では、土日を基準に制限を行います。 例えば水分ですが、中二日あいた日の体重増加が、 基準となる体重の4%(あるいは5%)以内になるように、 水分制限が指導されます。 カリウムは、やはり二日透析があいた日が高くなりますから、 ご質問の例では、月曜日の透析前が、一番カリウムが高い日と いうことになります。 そこで、この月曜日の透析前の血液検査で、血清カリウムの値が 5.5を超えないように食事制限が指導されるのです。 そうなると、一日おきの時(火曜と木曜)は、週末の土日よりも 少し余裕があることになって、安全な透析を行うことが できるのです。 [回答日 2004/2/16]

  • [Q55]腎機能の保存療法と人工透析では、どちらの方が負担が軽いのでしょうか?

    [回答] とても難しいご質問です。 私たち腎臓医は、何とかして血液透析をさけるように治療を進めたいと 考えているのです。 腎臓のはたらきがなくなっていき、いずれは透析を お受けになることということが予測できても、それをすこしでも 先延ばしできれば、と思いながら治療を行います。 この治療の大きな柱が食事療法です。 とりわけ、その中でもタンパク質の制限が重要です。 次に重要なのは、カロリー(エネルギー)をたくさん摂ることですから、 高カロリー・低タンパク食が、透析をなるべくさけるための食事として 指導されます。 これが、まず患者さんにとってつらいのです。 高カロリー・低タンパク食は、甘くて脂っこくなります。 お肉や魚が制限されますから、見た目にも舌にもさみしい食事です。 これに加えて、塩分制限がありますから、 ますます「つまらない」食事になります。 もちろん、患者さんだけでなく、ご家族も大変です。 高カロリー・低タンパク食は、メニューが単調になりやすく、 食欲が低下しやすいため、食事を作られる方の多くは どのような食事にしたら、楽しく食べられるのか悩んでおいでです。 肉体的にはどうでしょうか? 低タンパク食は、文字通りタンパク質が制限されているのですから、 やりすぎると、タンパク質が不足することになります。 高カロリー食は、たとえ糖尿病がなくても、余分なカロリーの摂取に 結びつく可能性があります。 このような食事をある程度長期間続けて、たとえ透析を 先延ばしにできたとして、それでお体に悪影響はないのか? かえって、普通通りに近い食事をして、透析が早まったとしても、 結果的に、その方がお体にはよいのではないか? 実は、この答は、確実なものは出ていないのです。 このため、極端な高カロリー・低タンパク食には批判的な意見もあります。 たとえばですが、体重1kgあたり、0.6g(およそ一日に30g)というと、 相当厳しいタンパク制限です。 体重1kgあたり0.8g(一日に40g)くらいですと、まあまあ 食べるものがあります(それでもかなりさみしいですが)。 ここ数年、「Quarity of Life」を大切にする治療の重要性が強調されています。 この言葉は、一般的には「生活の質」と訳されますが、 私は「日常生活での満足度」と訳しています。 患者さんの満足度を考える必要があると思うのです。 ご家族からごらんになって、あまりに我慢を強いているようで、 満足度が低いようでしたら、主治医の先生と相談してみて、 食事制限をある程度ゆるめてみる、それで、腎機能が低下して、 透析をはじめるのが早まったとしても、それはそれで仕方がないだろう、 という、選択肢もあるのです。 もちろん、そこには血液透析の大変さはどのようなものか? という問題があります。 血液透析は、楽に受けられる方と、大変な方の差が大きいので、 一概には申し上げられないのですが、 私たち透析医療に従事するものは、できる限り快適な透析をめざしています。 食事療法と血液透析のどちらが大変なのか、比較はできないのですが、 「それほど大変なものではないですよ」というのが、 透析医の「言い分」だと思ってください。 どのような方法がいいのかは、患者さんの日頃の様子をよくごらんになって、 主治医の先生とよいコミュニケーションをとることの中で、 決めていっていただきたいと考えております。 [回答日 2004/2/9]

  • [Q54]HDFとは何ですか?

    [回答] このHDFという治療法は、点滴で大量に水分を補いながら、 大量に除水をする、「大量補液・大量除水」の透析です。 大量の(10リットルから20リットルの)点滴を 行いながら、透析をしています。 この点滴用の液を「置換液」と呼んでいます。 この液の成分は、極端なことをいってしまえば、 塩水みたいなものです。 なぜ、一方でたくさん点滴しながら、他方で大量に除水をするなどという ややこしいことをするのでしょうか? 現在主流となっている、血液透析(点滴をしない透析)では、 分子量の小さな、つまり粒の大きさの小さな毒素が効率よく 除去され、中分子と呼ばれる粒の大きめの毒素は、 あまりよく除去されません。 小さな分子には、尿素窒素(BUN)・クレアチニン・カリウム・リンなどがあります (カリウムやリンは「毒素」ではありませんが、透析で除去することは大切ですよね)。 中分子と呼ばれる毒素の代表的なものは、ベータ2ミクログロブリンと呼ばれる 物質で、手根管症候群や、関節痛の原因となったりします。 ダイアライザーの改良によって、この中分子をなるべく多く除去しようという 努力が続けられているのですが、現時点では、ベータ2ミクログロブリンなどを たくさん除去しようとすると、HDFが一番いいことがわかっています。 HDFの利点は、中分子がよく取り除けるだけではありません。 透析中の血圧が下がりにくくなったり、心臓にかける負担が、血液透析よりも 小さいことも知られています。 反対に、このHDFをお受けになる上で、不利になることはありません。 ですから、HDFという治療法は、とてもいい治療だと思っていただいて いいと思います。 少し古いデータなのですが、2001年末で、HDFをお受けになっている方は、 血液透析をお受けになっている方の4~5%に過ぎません。 現在では、もう少し増えていると思いますが、お金がかかる治療なので、 すべての患者さんが、HDFをお受けになるというわけにはいかないのです。 [回答日 2004/2/2]

  • [Q53]透析後に身体がだるくなることがあります。 原因として考えられるものを教えてください。

    [回答] 透析後のだるさですが、いろいろな原因で起きてきます。 (1) 除水による原因 透析では、増えた水分(体重)を取り除く(これを除水といいますね)のですが、 この除水量が多いと、透析後に体がだるくなります。 基準となる体重の4-5%以内に、体重の増加を抑えるのが理想的です。 体重の増加が多くない時には、基準の体重(ドライウェイトと呼んだりします)が 適切かどうかを、検討します。 ドライウェイトが低すぎると、やはり透析後にだるくなったり、吐いたりすることが あります。 (2) 毒素による原因 透析では、尿毒素を除去しています。 これはとても重要なことで、毒素はできるだけたくさん除去したいのですが、 特にご高齢の方の場合、あまりたくさん毒素を取り除くと、透析のあとに 頭痛がしたり、吐いたり、だるくなったりします(不均衡症候群と呼んでいます)。 毒素はたくさん除去したいのですが、やりすぎは自覚的には大変になってしまうのですね。 この場合の対策は、今よりも毒素を除去しない(透析効率を下げる)治療にすることです。 1回の透析でどれだけ毒素を除去するのかの調節は、簡単にできますから、 血液の検査を見ながら、この透析効率を検討します。 また、グリセオールという点滴のお薬を透析で使うと、 この不均衡症候群が楽になる方がいらっしゃいます。 (3) 原因不明のだるさ 上にあげた2つの原因ではなく、よくわからないだるさもあるのです。 原因が不明ですので、決定的な対策もありません。 また、透析をしているうちに「慣れてくる」こともあります。 ただ、透析をはじめられて、3~4か月ほどになれば 慣れてきていいころだと思われます。 [回答日 2004/1/28]

  • [Q52]風邪が治りにくいように感じます。そんなことはあるのですか?また、風邪の予防についても教えてください。

    [回答] すべての方ではありませんが、透析をお受けになっている方で 風邪をひきやすい方、一回風邪をひくと長引く方が、 確かにいらっしゃいますね。 細菌やウイルスと戦う免疫の力が低下していたり、漠然とした表現ですが、 「抵抗力」が落ちていたりするのが、その原因だと思われます。 さて、風邪の予防ですが、これがなかなか難しいです。 一般的に風邪の予防にいいといわれているものは、 カリウム制限や水分制限のある透析患者さんには不向きなものが多いのです。 私がお勧めしているのは、うがいを習慣としていただくことですが、 それでも風邪を確実に予防できるわけではありません。 もちろん、うがいをしないよりはした方がよいだろうとは思いますが・・・。 栄養ドリンクの類を飲んでも良いか?という質問も多くありますが、 透析患者さんには摂らない方がよいビタミンもあります。 ビタミンAがその代表なものです。 栄養ドリンクを飲む際には、注意が必要だと思います。 [回答日 2003/12/22]

  • [Q51]透析中に小説を読んでいるのですが、片手で本を読むのは一苦労です。楽に読む方法や、他にもできるだけ快適に過ごす方法はないでしょうか?

    [回答] 安定した透析をお受けになっているようですね。 血圧が下がったり、吐き気や頭痛がしたりということがなければ、 透析をお受けになっている時間帯は、いろいろ有意義に使われている方が多いです。 当クリニックでも、読書をされる方は多いです。 確かに片手では本を読むのは大変ですね。 横になっていると、本を持っているのに疲れますし、 起きあがって本を読まれても、ページをめくるのも簡単ではありません。 通信販売などで売っている、ベッド上での読書用のブックスタンドを 持ち込んでいる方もいらっしゃいましたが、多くの方は 文庫本や雑誌など、あまり重くない本を読んでいることが多いようです。 他の楽しみ方をということですが、 当クリニックでは、それぞれのベッドにテレビを設置していますので お好きな番組を楽しまれたりしています。 働いている方では、パソコンを持ち込んで仕事をされたりする方も いらっしゃいますね。 または、音楽を聴いたりとさまざまです。 [回答日 2003/12/16]

  • [Q50]透析は血の中の水分を抜くということは理解できます。この水分というのは、細かく言うと何のことでしょうか?胸に水がたまるというのは、何処にたまっているのでしょうか?

    [回答] 水分とは、文字通り「水」のことです。 透析では、毒素を除去し、カリウムなどの電解質を調節するのと同時に、 この「水」を血液中から、取り除いているのです。 ですから、その結果として、透析直後では透析前と比べて 血液が濃くなっています。 「胸に水がたまる」というところの「胸」というのは、 正確には、肺の中の「間質」というところにたまっているということです。 肺は、体の中に酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出すところです。 鼻や口から吸った空気は、肺の中にある肺胞という小さな袋に入ります。 この肺胞のまわりには毛細血管があって、肺胞から酸素が 血管の中に入り、反対に血管から二酸化炭素が肺胞に出ていきます。 肺胞と毛細血管の間が間質です。 この間質に水がたまると、酸素や二酸化炭素の動きが、水分によって 邪魔をされます。 その結果、息を吸ったり吐いたりした時に、肺胞までは空気が届くのですが、 血液の中には酸素が入ってきてくれません。 これが「肺うっ血」と呼ばれたり、「肺水腫」と呼ばれたりするものです。 あるいは「心不全」というのもほぼ同義語になります。 とても苦しい、呼吸困難をともなう状態です。 ですから、透析できちんと水分を除去しておくこと、透析と透析との間で 水分を摂りすぎないことが、とても大切なのです。 [回答日 2003/12/1]

  • [Q49]家族が透析をすることになりました。お見舞いに行くときは何がよいのでしょうか?

    [回答] 透析をお受けになる方には、いろいろな食事制限があります。 その大きな柱は、水分制限・カリウム制限です。 水分は水をはじめとして、ジュースやビールなども決められた量を 守っていただきたいです(入院中であれば、アルコールは ダメでしょうけれど)。 お見舞いといえば、フルーツが定番の1つだと思われますが、 カリウムは、基本的に生野菜やくだものに多く含まれますので、 お見舞いの品としては避けた方がよろしいかと思います。 食べ物であれば、患者さんのお好みもあるでしょうが、 せんべいや、だんごなど、和菓子は比較的無難です。 ただし、塩分制限も大事ですから、せんべいもあまり しょっぱいものはさけて、少しにしていただきたいですね。 [回答日 2003/11/24]

  • [Q48]透析を受けていますが、腎臓のはたらきが残っています。気をつけることを教えてください。

    [回答] 残っている腎臓のはたらきを「残存腎機能」といいます。 「残存腎機能」を、なるべく大切にしたい、というお気持ちは、 とても大切なことです。 残存腎機能を保つことは、オシッコの量を保つこととほぼ同じ意味と なります。 もちろん、腎臓のはたらきはオシッコを作るだけではなく、その中に たくさんの老廃物(尿毒素)を溶かして、体外に捨てることも 重要なのですが、実際にはオシッコの量を確保して、 水分制限を緩やかにし、透析での除水量を減らすことが 長い目で見た時には、とても重要となるのです。 すでに尿量が少なくなっていて、オシッコが一日500mLを 下回っているようでしたら、これからお話しすることは あまり役に立ちません。 残存腎機能が十分に残っていて、オシッコもたくさん出ている ということを前提に、次の3点を説明いたします。 1)体の水分量について 2)運動について 3)お薬について 1つめの「体の水分量について」についてです。 尿量を多く保つためには、体を脱水にしないことが大切です。 ですから、日ごろから十分な量の水分を摂ることが重要となります。 水分を摂りすぎて、透析での除水量が増えてしまうようでは、 かえって心臓などほかの臓器に負担をかけますので、逆効果です。 透析が中2日あいた週のはじめで、ドライウェイトの4%以内の 体重増加が目標ですから、これは超えないように気をつけてください。 そして、この体重増加の範囲内におさまっていれば、水分を たくさん摂ってほしいのです。 特に汗をかいたり、風邪などで熱が出た時、下痢をした時などは 脱水になりやすいので要注意です。 このような時には、お体が大変でも、体重をこまめに測って、 体重の増加が少なければ、水分を摂る、ということを 繰り返してほしいのです。 もちろん、体重が増えてきてしまったら、水分は制限をします。 2つめの「運動について」です。 運動は決して悪いことではありませんが、残存腎機能の保護という観点 からは、激しい運動はお勧めできません。 ウォーキング程度の、息が上がらないような運動にとどめて おいた方がいいですね。 安静にしすぎると、腎臓のはたらきは保つことができても 筋肉の力が弱ってしまったり、という弊害も出てきますから、 「適度な」運動はしておきたいと思います。 3つめの「お薬について」です。 これからお話しするお薬のお話しは、すべての方が飲んだ方が いいわけではありませんし、副作用もあります。 ですから、これらのクスリがご自分に好ましいものかどうかは 主治医の先生とよく相談されて、慎重に決定していく必要があります。 この点にはくれぐれもご注意してください。 まずは、利尿剤です。 オシッコの量をたくさん出すために、利尿剤の力を借りると うまくいくことがあります。 透析をお受けになっている方には、ラシックスという利尿剤が よく使われます。 利尿剤をのむことによってオシッコの量が増えるようでしたら、 続けていただきますし、のんでものまなくてもオシッコの量が かわらなければ、利尿剤はやめにします。 利尿剤はオシッコの量を増やすクスリですが、それ以外に 残存腎機能によいとされている薬に、ACEやARBと呼ばれている クスリがあります。 これらのクスリは、体の中のレニン-アンジオテンシン系という はたらきを抑えることによって、腎臓のはたらきを長く保たせる 作用を持っていることがわかってきています。 ACEもARBも血圧を下げるクスリ(降圧剤)です。 [回答日 2003/11/10]

  • [Q47]あまり水分を摂取していないのにむくみがすぐ顔に出ます。なぜでしょうか?

    [回答] むくみというのは、かなり個人差があります。 ドライウェイトが適切に設定されていて、水分の摂取が 多くなく、結果として体重の増加がそれほど多くなくても、 むくみが出る方がいらっしゃいます。 むくみの場所としては、すねに出る方が多いのですが、 顔、特にまぶたに出やすい方、手や指に出る方など、さまざまです。 むくみは、血管の外にある水ですが、お体全体には水が余っていなくても、 血管の外に水が漏れ出てしまえば、むくみとなります。 このように、血管の外にもれる・もれないという違いに、どうも 個人差があるようなのです。 むくみが出にくくするためには、ドライウェイトを下げることが 一番ですが、そうすると透析が大変になることがありますので、 慎重に行う必要があります。 ドライウェイトが適切であっても、むくみが出ることがありますので、 体重を下げるかどうかは、ご自身の体調と、主治医の先生の 判断で決定することになると思います。 [回答日 2003/11/4]

  • [Q46]家族が、腎臓を片方摘出し、1つだけになっています。食事について気をつけることを教えてください。

    [回答] 片方の腎臓を摘出した場合ですが、もう片方の腎臓の はたらきはどうなのかによって、気をつけることはかわってきます。 まず、残された腎臓のはたらきが正常である場合です。 食事に関して、それほど神経を使わなくてすみます。 まず、塩分制限は行っていただきたいと思います。 そうして、むくみなどがなければ、水分は積極的に 摂っていただきたいのです。 特に夏の暑い日や、風邪などで熱のある日、下痢の日などは 脱水になりやすいですよね。 脱水は腎臓にとって大きな負担となります。 飲みたくなくても、一日に1.5L程度は飲んでいただいた方が 腎臓は助かります。 さて、残された腎臓のはたらきが悪くなってきている場合です。 やはり塩分制限は、必ず行っていただきたいことがらです。 しかも、腎機能が正常の時は、塩分制限といっても あまり塩辛いものは控える程度でよかったのですが、 腎機能が悪くなっている時には、一日の食塩の量を 6-7gまで制限していただきたいのです。 この量を達成するのはなかなか困難ですから、 厳密な塩分制限、時には食事の量をはかって食べることも 必要になってきます。 水分ですが、やはりむくみがなければ、積極的に 飲んだ方が、腎臓への負担を減らすことができます。 タンパク質(肉・魚・乳製品などですね)の制限が 必要になる場合があります。 タンパク制限が必要かどうかは、残った腎臓のはたらきに よりますから、主治医の先生とよく相談してみてください。 以上のように、片方の腎臓を摘出した後の食事療法は、 透析をお受けになっている方の食事療法とは異なります。 定期的な検査(尿検査と血液の検査)をきちんと受けることも 心掛けておいてください。 [回答日 2003/10/27]

  • [Q45]以前から先生への態度が良くなかったと自覚していたので、具合が思わしくなくても先生に聞きづらいのです。転院も考えているのですが。

    [回答] ふだんは良いのですが、いざ、さまざまな症状が出ていて、 日常生活が快適でなくなっている時には主治医の先生との 関係をよくしておけば良かったと思われる方もいらっしゃるようです。 さて、日頃の態度がよくない、とのことですが、仮にそうだとしても 今のようにつらい症状がいくつもある時には、主治医の先生は 相談にのってくれると思います。 こんな風に言っては失礼ですが、私たちが接している患者さんたちも みなさんが物わかりのいい人たちばかりではありません。 だから、医者は「聞き分けのない患者さん」には慣れているのです。 あなたが考えているほど、主治医の先生は話をしにくい医者では ないように思いますが、いかがでしょうか? 主治医がダメでも、透析スタッフはどうでしょうか? 看護師や臨床工学技士に相談しやすい人間はいないでしょうか? あなたのお体のことですから、きっと、きちんとお話を きいてくれるはずです。勇気をもって話しかけてみてください。 さて、転院についてです。 まずは、主治医の先生に現在困っている症状をすべてお話しして、 それに対して、どのような対策をとってもらえるのかを聞いてみることから はじめるのがよいと思われます。 それができない時に、はじめて転院を選択肢の一つとして考えては いかがでしょうか。 透析は長い治療です。 これからも、今とは違う合併症が出てくるかも知れません。 主治医とのコミュニケーションは必須です。 ただし、転院することですべてが解決するわけではありませんし、 かえって事態が悪化することもあり得るのですから、 あまり安易にお勧めすることはできません。 現在の施設で、どうしても良好な人間関係を築けないという方もいらっしゃるかもしれません。 そのような場合は、透析施設をかわられるのも一つの方法かな。とも思いますが、 まずは、お話しをしてみるのが一番かと思います。 [回答日 2003/10/20]

  • [Q44]家族が透析を受けています。 就寝中に突然気持ち悪くなり吐いたりしています。 透析中にも似たような症状があり、その時は血圧が急に 下がっていたといっています。 命にかかわるものでしょうか?

    [回答] まずは透析中に関してお答えをいたします。 透析中に血圧が急に下がって、気持ちが悪くなり、場合によっては 吐いてしまうことは、決して珍しいことではありません。 しかし、ご心配されているように、あまりひどくなると 命に関わることもあり得ますので、その対策は重要です。 まずは体重が増えすぎないこと、これが一番です。 透析と透析との間の体重増加は、ドライウェイト(基準体重)の 5%以内にしたいのです。 これがなかなか難しいのですが・・・。 つぎにそのドライウェイトが適切なものかどうかを検討します。 ドライウェイトがきつすぎると、血圧が下がりやすくなります。 そうして、透析中に血圧が下がらないように、クスリを使ったりします。 のみぐすりでは、リズミックやメトリジンといったクスリが、 注射では、エホチールやノルアド、濃い食塩水(「お塩」と 呼んでいる施設が多いようです)などを使い、透析中に 血圧が下がらないような対処をしていきます。 こういった対策が行われますので、透析中に血圧が下がってしまっても、 実際には生命が危険にさらされることはそうそうありません。 さて、気になるのは、就寝中の嘔吐です。 これは、透析中の血圧低下とは無関係のように思われます。 透析中に吐くことがあるのですから、就寝中に吐くのも 心配ないですよ、とは言えないのです。 透析中とは違って、眠っている間に血圧が急激に下がるということは ありませんので、吐いてしまう原因はほかにありそうです。 胃の検査をはじめとした、消化器系の検査をお受けになったことは ありますでしょうか? もしも、そういった検査をお受けになったことがないか、お受けになっていたと しても、最近ではないとしたら、ぜひ検査を受けられることをお勧めします。 また、まれなケースですが、脳腫瘍が就寝中(特に明け方)の 嘔吐で見つかることがあります。 主治医の先生と相談されて、原因を究明するように しておくことをお勧めします。 [回答日 2003/10/14]

  • [Q43]シャント手術後、運動すると良いと聞きました。具体的にいつからどんな方法ですると良いでしょうか?

    [回答] 手術後といっても、手術当日に運動をしてよいわけではありません。 また、運動は人によって違いがありますので、主治医の先生の指導に したがって運動をしましょう。 運動を開始する時期ですが、少なくとも手術の翌日には、 運動を開始しても構わないと思います。 運動すると、手術のキズが付かなくなる、などと言うことはありません。 けれども、例えば運動によって汗をかくと、その汗により傷口から バイ菌が入って、感染を起こすことも絶対にないとは言い切れません。 その意味からは、抜糸がすんでからの方が安心かも知れません。 運動の内容ですが、握力をつけるような運動がよいとされています。 それで、やわらかなゴムまりを握ったりはなしたりする運動が勧められます。 テレビを観ながらでもできる運動です。 根気強く、長く続けることが大切なのですが、決して楽しい運動ではなく、 むしろ単調な運動なので、長続きしない方が多いのが、この運動の欠点です。 握ったりはなしたりする運動、ということで、スポーツ用品店などで 握力をつけるためのハンド・グリッパーといった器具をお買い求めに なる方がいらっしゃいます。いけないわけではありませんが、 お金がもったいないと思います。 100円ショップで売っているゴムまりで十分ですので、できれば やわらかくて、握った時にちょうどよくつぶれて、手が疲れないものを 選んでみてください。 [回答日 2003/10/6]

  • [Q42]透析を受けている子供への適切なおやつは何でしょうか?

    [回答] 透析をお受けになっているお子さんへのおやつは、 なかなか難しいですし、それぞれのお子さんにとって 食べていいものと、避けた方がいいものが異なりますので、 具体的なことは、主治医の先生にお聞きになってみてください。 おやつについてのポイントをいくつかお話しましょう。 まず、子供にとってのおやつの大切さについて、 簡単に説明しておきます。 おやつは、子供たちにとっては、何といっても 食べる楽しさを覚えるために、とても大切です。 また、いろいろな食べ物の味を覚えるためにも おやつは重要です。 ですから、おやつにご飯や、ご飯のおかずを出すことは あまりいいことではないのですね。 小児の肥満の害が盛んに言われていますが、それでも 「おやつはあげてはいけない」ということにならないのは、 おやつには、上に書いたような、重要な役割があるからです。 では、そのおやつの内容ですが、透析をお受けになっている お子さんの場合には、血液透析でも腹膜透析でも、 食事制限があります。場合によっては水分制限が 加わっている場合もあります。 そこで、健康なお子さんと異なり、これらの食事(水分)制限の 枠内で、おやつの内容を考える必要があります。 ポテトチップスなどのスナック菓子は、肥満の観点から おやつとしては好ましくないといわれています。 「食べた」という実感のあるあられやせんべいなどが、 そのかわりに勧められますが、塩分が過剰にならないよう 注意が必要です。 くだものはカリウム制限のあるお子さんにとっては、 おやつとしては、勧められませんから、ジュースなども 無果汁のものとなります。 エネルギー(カロリー)が、オーバーにならないようであれば、 果汁の入っていない清涼飲料水が、また エネルギー(カロリー)の制限が必要な時には 麦茶やウーロン茶ということになります。 この場合は、水分制限を考えて、缶やペットボトルの ままではなく、コップにわけて出すようにしてあげることが 必要です。 [回答日 2003/9/22]

  • [Q41]透析熱とその原因について教えてください。

    [回答] 透析という治療にともなって発熱し、それ以外の 時には熱が出ない場合「透析熱」と呼ばれます。 これは私の印象で、実際にほかの透析施設の現状を調べたわけではないのですが、 以前に比べてこの透析熱をみなくなった感じがします。 おそらく、一番の要因は、透析液の処理を厳重にして、 透析液をきれいにするようになったことが、いい影響を およぼしているのだと、想像しています。 さて、比較的長期間にわたって、透析熱が続いている場合、 1) ダイアライザーの膜との相性(「生体適合性」などと言いますね)が合っているかどうか 2) 透析液がきれいになっているかどうかエンドトキシンの含まれていない透析液かどうか 3) 薬剤のアレルギーがないかどうか の3点を透析熱の原因と考えます。 1)のダイアライザーとの相性は、人それぞれで異なりますので、 ある人は熱が出なくても、別の人では熱が出ることがあります。 ですから、試しにダイアライザーを変更してみるのはよい方法と思われます。 2)の透析液の清浄化ですが、これは多くの施設で行われるように なってきています。ところが、残念ながら、100%の施設で行われて いるわけではありません。 エンドトキシンフィルターという機器を、透析液の流れる配管の 途中につけているかどうか、そのフィルターのメンテナンスを こまめに行っているかどうかが問題なのですが、 実際に患者さんの目に触れるものではありませんので、 わからないことが多いのです。 透析液の中にエンドトキシンという、熱の原因となる物質が ないかどうか調べる検査も、必要なのですが、この点につきましても もしお聞きになれるのでしたら、主治医の先生にご質問されると よろしいかと思います。 3)の薬剤ですが、透析のたびに使用される薬剤で、熱が出ることがある (可能性がある)ものには、エリスロポエチン、鉄剤(注射用のもの)、 二次性副甲状腺機能亢進症の治療に使用される、ビタミンD(これも 注射用のものです)が、知られています。 また、熱が透析の時に限って出るのだとしても、感染症が 隠れていないかどうかの検査も重要だと思います。 特に、透析をお受けになっている方の場合は、結核が 隠れていることが、時々あります。 [回答日 2003/9/8]

  • [Q40]石灰化とはどういうことでしょうか?治るのでしょうか?

    [回答] 透析をお受けになっている方に血管(特に動脈)の石灰化がよく生じます。 また、心臓ですが、心臓の筋肉に石灰化が生じることが ありますし、心臓に酸素や栄養分を運ぶ冠動脈という 血管に石灰化が生じることがあります。 心臓の筋肉に石灰化が生じると、心臓の動きが悪くなってしまいます。 また、冠動脈の石灰化は、心臓に酸素が行きにくくなるので、 狭心症や心筋梗塞といった重大な病気の誘因となりうる状態です。 ですから、どちらにしても、石灰化が起きてしまうことは 好ましくないわけです。 こうした異所性の石灰化は、カルシウムとリンの値を 掛け合わせた数値が大きくなると起きやすいことが知られています。 具体的には、カルシウム×リンの値が70を超えるといけない。 と言われています。 例えば、カルシウムが9.5、リンが7.5の場合は カルシウム×リンは71.25となって、70を超えてしまうのですね。 カルシウムを下げすぎると、骨が悪くなってしまいますから、 カルシウム×リンの値を下げるためには、リンの値を下げることが大切です。 石灰化が治るか?ということですが、現在のところ 決定的な治療法はわかっておりません。 しかし、カルシトニンというクスリ(注射薬)が、異所性の石灰化に有効である。 という報告がありますので、これを使用している施設もあります。 また、先月の2003年6月26日に発売された、塩酸セベラマー というクスリは、カルシウムの値を上げることなく、リンの値を 下げてくれる効果を持っています。 このクスリを上手に使うことによって、カルシウム×リンの 値を、これまでよりもずっと下げることが可能になるはずです。 これまでは、カルシウム×リンの目標値は60以下だったのですが、 これを45とか40という値まで、下げることができるようになるかも知れません。 そうすることによって、異所性の石灰化が多少なりとも とれてきてくれるか、そこまで行かなくても、これ以上悪化させない ようにできるのか、この新しく発売された薬剤にも期待が集まっています。 カルシトニンや塩酸セベラマーというクスリを使った方がいいかどうかは、 主治医の先生とよく相談して、決めていただきたいと存じます。 [回答日 2003/9/1]

  • [Q39]透析をした夜、激しい足のつり、痛みをともない、寝つかれないことがしばしばあります。 予測される原因と対処方法を教えてください。

    [回答] 足がつる(いわゆるこむら返りですね)のが、透析をした夜に限るのであれば、 まずは透析の除水が引き金になっている「つり」が考えられます。 いくつか原因と対処方法をご紹介しますが、 くれぐれも、主治医の方とご相談のうえ、対処してください。 最初にすることは、ドライウェイト(透析での設定体重)が、 ご自分に合っているかどうかを検討することです。 適切なドライウェイトよりも引きすぎると、こむら返りが起きやすくなります。 次に、体重が増えすぎていないかどうかを確認します。 水分制限は、透析をお受けになっている方たちにとってとてもつらいことですが、 体重が増えてしまって、1回の透析で引く水分の量が多くなると、 たとえドライウェイトが適切であっても、やはりこむら返りが 起きやすくなるのです。 透析と透析の間の体重の増加は、ドライウェイトの 5%以内(もっと欲を言えば4%以内)にしたいのです。 それでも足のつりがおさまらないようであれば、お薬を使ってみます。 私たちのクリニックでは漢方薬の「芍薬甘草湯」というクスリを のんでもらっていますが、これによってこむら返りがかなり楽になる方が多いです。 この漢方薬は、保険がききます。 また、透析中に塩化カルシウム(注射薬です)を 透析の回路から入れることもあります。 ただし、これはその患者さんの血液のカルシウム濃度との兼ね合いがありますから、 すべての患者さんに行うことができる治療ではありません。 また、これはすべての方に効くわけではありませんが、カルニチンという 栄養素を補給することによってこむら返りが楽になる方がいます。 カルニチンは筋肉に対して、好ましい効果があることが学会で報告されています。 心臓の筋肉の保護作用もあることが、ほぼ確実です。 残念ながら保険が適応されませんので、自費購入していただくことになります。 どの程度の量をのむかによってもかわってしまいますが、 1月で3,000円程度になると思います。 さて、もしもこむら返りが生じるのが、透析の日の夜だけではないとすると、 除水によって引き起こされる「つり」ではない可能性が大きくなります。 その際には、まず原因を究明しなければなりませんが、 よくわからないこともしばしばあります。 このような透析(除水)と関係のない「つり」であっても、 芍薬甘草湯やカルニチンが有効なことが、よくあります。 まずはドライウェイトと水分制限について検討してみてください。 お薬を使う場合は、主治医の先生と相談して処方してもらう ことになります。 [回答日 2003/8/26]

  • [Q38]やせることは心配ないでしょうか?

    [回答] やせることが心配ないことなのか?心配しなければいけないことなのか?は 患者さんによりますので、一般的なお話しとしては回答できません。 ここでは、「やせる」「太る」についてお話しましょう。 まず、透析をなさっている方は、やせてしまう傾向があることは確かです。 透析をお受けになっている方の体重(ドライウェイトと呼ぶところが多い) をいくつにするかというのは、とても難しい問題です。 患者さんにとって、大切なことは、心臓に負担をかけないことです。 そのためには、体の中に余分な水を残さないことです (だから「ドライ」などという言葉が使われるのですね)。 体は、主に水分とお肉と骨でできています。 透析で「体重を下げた方がいい」ということがある場合は、 「お肉を落としなさい」ということではなくて、 「水分を取り除いた方がいい」ということなのです。 透析で、体重を下げていっても、お肉がとれてしまうわけでは ありませんよね。除水といって、水分を取り除いているのです。 それでは、やせないためには、どうしたらよいでしょうか? 簡単にいうと、お肉は筋肉でもぜい肉でも構いません。 とにかく、水分以外でお太りになればいいのです。 ところが、これが難しいのです。 腎臓の悪くない人間は、食べるものを食べて、ゴロゴロしていれば あっという間に太ってきてしまいます。 けれども、透析を受けていらっしゃる方たちは、ただ食べて ゴロゴロしていても太りにくいことがわかっています。 食べるだけではなく、適度な運動をすることが必要です。 もちろん、運動の方法や量は、主治医の方と相談のうえ 決めなければいけません。 多くの運動をしてはいけない場合があるので注意が必要です。 私は、とにかく大変でも、少しでもいいから体を動かしてほしい、 1時間なんてとても無理ならば、せめて10分でも20分でも 外に出歩いてほしい、さらにがんばって食事を食べてほしい、と 患者さんたちにお話しをしています。 それでも、多くの患者さんたちは、先ほど述べた悪循環に はまってしまって、次第にやせてきてしまうことが多いのです。 透析医以外の医者から見ると、やせてくる患者さんを診て これはどこか間違った治療をしているのではないか?と 疑問を持たれることも、少なくありません。 もちろん、患者さんがおやせになってしまうのは、患者さんご自身ではなく われわれ透析医にも責任があるのですから、患者さんやご家族に対しては 申し訳ないことです。 しかし、上述したように、「これさえやっておけばやせません」という 確実な治療法はないのが現状です。 [回答日 2003/8/18]

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